普段、川や海の水の汚れはどのくらいなのか気になることはないと思いますが、ふとした時に知りたくなることはありませんか?
川や海の水の汚れを表す指標として、BODやCODというものがあります。 BODは川の汚れ、CODは海の汚れを表す指標として使われています。 窒素やリンの濃度も重要視されており、濁りを表すものであったり、洗剤などの成分など、水の汚れの指標として色んな項目があります。
BODは、Biochemical Oxygen Demandの略であり、生物化学的酸素要求量のことで水中に含まている汚濁物質である有機物が、微生物によって酸化分解されるときに必要とされる溶存酸素量のことを表しています。
河川の汚濁を表す代表的指標であり、有機物が多いほど値は大きくなるので汚濁の度合いがわかります。
CODは、Chemical Oxygen Demandの略であり、科学的酸素要求量のことです。
水中に含まれている汚濁物質である有機物を、酸化剤を使用して化学的に酸化するときに消費される酸化剤の量を、酸素の量に換算したものを表しています。海や湖の汚濁を表す代表的指標であり、値が大きいほど汚濁の度合いが大きいです。
全窒素は総窒素とも呼ばれますが、水中に含まれる窒素化合物の総称です。
窒素化合物は有機態窒素(O-N)と無機態窒素(I-N)に分類されます。有機態窒素は、粒子性有機態窒素(PO-N)と溶解性有機態窒素(PO-N)に分類され、私たち人間の生活廃棄物などに含まれるアミノ態、蛋白態などの含窒素有機化合物、他に工場排水中に含まれる含窒素有機化合物などが含まれます。
無機態窒素は、アンモニウム態窒素(NH4-N)と亜硝酸態窒素(NO2-N)と硝酸態窒素(NO3-N)の3形態に分類されます。
全窒素は、動物・植物に由来しているため、全ての水に含まれています。
全リンは、窒素とともに富栄養化の指標となる物質です。
富栄養化とは、閉鎖性水域である瀬戸内海や湖などで、栄養塩が増加することを言います。生活排水、工場排水などにより、栄養塩類が過剰になりすぎてしまうと、植物プランクトンが増殖し、赤潮やアオコ、苦潮(青潮)の発生の原因となります。そのため、漁業へ大きく影響してしまいます。
全窒素と全リン濃度を測定する理由は、近年、水質汚染が進行してきているのが原因であり、環境庁による全窒素と全リンの測定が必要となったのです。
その他に水の汚れを表す指標として、水素イオン濃度(pH)、浮遊物質量(SS)、溶存酸素量(DO)、大腸菌群数などがあります。
普段、私たちが生活排水として流している物は、一体どのくらいの影響があるのでしょうか。
毎日料理を作るご家庭の場合、油や調味料など気付かぬうちに流してしまっているご家庭が多いと思います。例をあげると、フライパンやお皿などに付着した油の量が20mlの場合、水の汚れを表すBODは30gとなり、この水を海の生き物が生きることができる水質まで綺麗にするには、浴槽1杯を300ℓとすると20杯分の量が必要となるのです。揚げ物などをした時に多めの油を流すのはもってのほかですが、少量であっても拭き取ってから洗うことが大切なのです。
また、油は流すと冷えて固まってしまいます。それが原因で配管の詰まりが発生してしまうため、油は吸い取ってから燃えるゴミへ出すようにしましょう。流してはいけない物は油だけに限らず、生ゴミやお酒、薬品なども直接流さないように気をつけなければなりません。
私たち人間の誰もが、ほぼ毎日入るお風呂も影響しており、シャンプーなどの使い過ぎには注意することが必要です。少し意識するだけで変わることもありますので、これを読んだ今日から少し意識をかえてみるようにしましょう。
日本は雨の多い国です。汚染された水が蒸発し、雨となって私たちの元へ帰ってきます。
雨は空気中の汚れも含んでいるため、さらに汚水ということになり、その雨を私たちは浴びていると考えると、気をつけようという意識が芽生えるのではないでしょうか。水を汚さないために、私たちにできることはたくさんあります。水が綺麗になれば、魚や海の生き物も過ごしやすくなり、今よりも安心安全な魚を食すことが可能になることでしょう。川や海の汚れをなくすために、1人1人が日常生活で少しでも気をつけるだけで、水質汚染の度合いはものすごく変化すると思います。また、水質を考える上で、流す水だけ気をつけるのではなく、川や海にゴミを捨てないこと、ゴミはゴミ箱に捨てる、ゴミ箱がなければ必ず持ち帰るという当たり前の事もとても大事なことです。現に、川や海沿いに大量のゴミが落ちている所はいくつかあります。日本だけではなく世界のどこかから流れついたゴミも含まれていますが、それらが汚染の原因の1つでもある為、1人1人の意識はとても大切なのです。