新築から10年以上経過し、少しずつ家屋にほころびが目に入るようになると雨漏りも気になってきます。どこから雨水が浸入しているかわからないけど、気付いたら水漏れらしきシミができているという場合もあるかもしれません。
見て確認できるシミは少しでも、隠れた場所に大きな雨水の侵入があるかもしれません。
気になったら、早めに雨水浸入の確認を依頼して修繕することです。
●雨漏りは塗装でなおる?
●雨水浸入箇所の特定は?
●「悪魔の証明」って何?
●まとめ
雨漏りは塗装でなおる?
もしも、雨漏りする建物をすっぽりとビニール袋に入れられたら、雨漏りは完璧に防ぐことができるだろうな~と絵空事を考えたりしませんか。
できないことを思っても仕方のない事ですが、ビニール袋のかわりに塗装の塗膜で覆ってしまえば雨漏りを防止できるはずという考え方もあります。
残念ながら、塗装で雨漏りを止めることはできません。
一度浸入した雨水は、これからの侵入をストップしても、すでに壁や建屋の中に入りこんだ水を外に出さない限りは、見えない場所で建物の腐食を進行させることになります。
浸入を防ぐだけでなく、入ってしまった水を出すことも大切になるのです。
散水試験、水切り施工、シーリング打ち替えが正しく行われた後で塗装する必要があります。
順番を間違えてもいけない、塗膜で家全体を覆ってしまってもダメなのです。
雨水浸入箇所の特定は?
雨漏りの修繕工事に入る前に、事前準備として散水試験に十分な時間をかけて実施し、雨水浸入箇所を完全に特定しなければなりません。特定できずに「此処だろう」で工事に着手することのないように家主は、施工業者の説明に十分注意しましょう。
散水試験が十分でない場合、補修工事完了直後であっても、雨漏りが再発することが非常に多いのです。雨水の進入口を完全に特定することは難しいですが、浸入口を的確に見つけることが雨漏り工事の生命線になります。
散水試験で雨漏りを再現し、浸入口を見つけても他の場所で「ここからは雨漏りしない」と証明することはできません。
「悪魔の証明」って何?
雨漏りの発生は、①雨量、②風の向き、③風の強さ、④雨降りの継続時間の4つの要素で発生します。
散水試験で30分散水したから「雨漏りしない」とはいえません。1時間すると雨漏りする場合もあり、散水場所を少しずらしたり、散水に強弱を加えると雨水が浸入することもあります。
建物の構造にもよりますが、何時間散水すれば完璧に試験ができるかは誰にもわかりません。長時間の散水でやっと雨漏りが始まることもあり、どれぐらいの水圧で、どれだけの水量を、どの方向から、何時間、散水すれば良いという基準はありません。
とても難しく、経験と勘の世界といえます。
膨大な時間をかけて全個所に行わなければならないので、「雨が漏らない」という証明は事実上できないのです。
これは通称「悪魔の証明」と呼ばれるもので、本来、証明できないものなのです。
しかし、現実には品確法(住宅品質確保促進法)により、施工業者は雨漏りに対する10年間の保証をしなければなりません。
まとめ
雨漏りすると入居者はたいへん気持ちが落ちこんでしまいます。
すぐにでも解決して欲しいので、塗装業者や営業マンの言葉を鵜呑みにして塗装工事と一緒に雨漏りも修繕してもらおうと契約してしまいます。
手順をふんで納得できる工事であれば安心できますが、塗装だけでは雨漏りは治りません。
雨漏り箇所の特定はたいへん難しいこと、100%と特定できないものであることを理解したうえで納得のいく業者選び、施工の依頼をするようにしたいですね。