建物に使われるコンクリートは皆さんご存知だと思いますが、そのコンクリートの中の可溶成分を含んだ溶液が、コンクリート内部から表面に出て乾燥し、水分が蒸発すると、コンクリートの表面に固まります。
コンクリートの成分である水酸化カルシウムが溶けて表面へ出ると、空気中の炭酸ガスと反応し統合することによって、コンクリートの表面に白色の物質が沈着します。
その白色の物質のことをエフロレッセンスと呼び、白い花が咲いているようにも見えるため白華現象とも呼ばれています。
エフロレッセンスは、コンクリートを使用する際の練り混ぜ水によって、比較的早期に現れる一次エフロと、建築後に自然の雨や雪水などがコンクリートに浸透し、その水によって経年とともに現れる二次エフロに分けられます。
形も様々で、塊状になっているもの、粉がふいたような状態になっているもの、繊維状の結晶が広がっているものなどがあります。
基本的に、構造や人体に害や影響を与えることはないとされておりますが、見た目を損なってしまいます。
このエフロレッセンスですが、自然に消えて無くなることがあります。
雨水の成分に含まれる炭酸により、エフロレッセンスの成分が変化し、溶け流されます。
また、地面のコンクリートにエフロレッセンスがある場合、歩行者や自転車などの摩擦により無くなることもあります。
エフロレッセンスとなった白色の固まりは、一体どんな主成分なのでしょうか。
エフロレッセンスは、コンクリートの成分のうち、最も溶解度が大きい水酸化カルシウムCa (OH)2が溶け出し、水分と共にコンクリートの表面に出て乾燥し白く固まったものです。その白色の固まりが、炭酸化反応によって水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素CO2と反応して統合することによって、炭酸カルシウムCaCO3に変化します。この事から、エフロレッセンスの主成分は炭酸カルシウムとなります。
炭酸カルシウムは、身近にあるものでは貝殻やサンゴ、食品添加物としても使用されています。
では、エフロレッセンスは全てのコンクリートに発生するのでしょうか?
発生しやすい環境があるようです。
気温が低い冬、雨上がりや雪解け時は最も発生しやすい環境のようです。日当たりが悪い場所もこれに当てはまります。
逆に、日当たりが良い場所では、乾燥する速度が速いため、発生しにくいようです。
冬に限らず、適度な風がふく場所や、梅雨の時期の湿度が高い状態が続く時も発生しやすいようです。
先程、建物の構造や人体に害や影響は無いと言いましたが、発生原因によっては危険が伴う場合もあります。
エフロレッセンスのあるコンクリートの周辺がひび割れている場合は注意が必要です。
ひび割れがある場合は、コンクリート内部に水分が侵入している可能性があります。
コンクリートの内部は強いアルカリ性で鉄筋を守っているわけですが、水分が侵入することによりアルカリ性が中性になってしまうと、鉄筋が錆びてしまい腐食が始まってしまいます。
膨張しコンクリートの爆裂現象が起きる場合もあるため、危険性が高いので、早急に専門業者に依頼することをオススメします。
エフロレッセンスの除去方法
一次エフロであれば、水とブラシだけで簡単に落とすことが出来ますが、二次エフロとなると落とすことが出来ないので、酸性の洗剤を使用して落としてください。
専用の洗剤もあるので、綺麗にしたい場合は使用してみましょう。
まず、十分な水をかけ含ませます。洗剤をコンクリートの表面に塗布し、ブラシなどを使用して擦ります。その後、長めに水を流しコンクリートの表面を洗います。そして出来るだけ早く乾燥させることです。
もしも汚れを落としたいコンクリートの周辺に、花壇などの植物がある場合は、水に含ませた洗剤で拭き取る形で除去してください。
洗剤を付けて水を流してしまうと、植物が吸ってしまうためよくありません。
エフロレッセンスが発生しないように、完全に防ぐということは難しいことですが、対策としてはいくつかあります。
施行前の段階で、セメントにエフロレッセンス防止混和剤を混ぜておくと効果的です。
これはご自身で出来るものではないので、施行前でしたら相談すると良いでしょう。
また、浸透性塗布剤や防水加工をコンクリートの表面に塗ることも効果的です。こちらは防水防止になるのでエフロレッセンスを防いでくれます。
いずれにせよ、予防やメンテナンスを定期的に行うことで、綺麗な状態が保てますので、ご自身で解決するのが難しい場合は、専門業者に相談してみましょう。
エフロレッセンスは、少量であれば目立ちませんが、多量になってくると固まるので、白い汚れのようで気になるものだと思います。
人体に影響はありませんが、早めに対処すれば簡単に落とせるものなので、綺麗にして快適に過ごしましょう。
洗剤を扱う際は、ゴム手袋を使用してくださいね。