住宅を建てる上で、北海道の一部を除き、日本の住宅ではほぼ雨樋が取り付けられています。
雨樋には使われる部品と役割によって呼び名の種類がたくさんありますが、その中で縦樋と言う雨樋が、一般的には建物の四隅に必ずといっていいほど取り付けられています。この縦樋は、壁に沿って縦に設置してある部品のことを言い、雨水を地上や下水へ流す役割をしています。建物においては非常に重要な役割をする縦樋ですが、設置する際に、縦樋を安定させるために外壁に樋受け金物が取り付けられている場合がありますが、この金物を外壁のコーキング部分に打ち込んで取り付けていることがあります。
これは、何も知識の無い方からしたらただ単に安定させるために取り付けてあるんだなと思いますが、このやり方は完全に新築時の施工不良となります。何が一体ダメなのか、問題点を見ていきましょう。
まず、外壁のコーキングというのは、弾性の樹脂系の目地充填剤のことであり、外壁の耐久性を保つために使用されています。
住宅の中への水の浸入を防いだり、地震などによる建物の揺れの負担を緩和するなど、コーキングを使用することで、防水性と耐候性の高い外壁ができます。
ですが、コーキングの寿命は永久ではなく、雨や風、太陽光などの紫外線により経年劣化してしまいます。劣化が進むと本来の柔軟性を失い、ひび割れや剥離などが発生し、防水性と耐候性が低下してしまうのです。なので、上記で述べたように、金物がコーキングに打ち込んであると、その部分から雨水が侵入し、外壁と内壁の間の構造部材が腐食してしまう恐れがあるのです。雨水が侵入したまま湿った状態が続くことでシロアリも呼び寄せてしまうので、建物にとってはマイナスでしかありません。四隅の柱というのは、通し柱が多く存在しているため、なかなか替えがきかないことが多いです。その四隅に取り付けられている縦樋ですので、もし新築を購入して気付いた場合は、早めに修復してもらいましょう。また、コーキングの劣化具合は定期的に点検することで、建物を安全に長持ちさせることができます。
ここで、コーキングの補修に関して非常に大切なことが、補修する際の業者選びです。新築の場合は建てた施工会社に依頼すると思いますが、何年か経ったあとメンテナンスの為に業者を探すこともあると思います。コーキングの補修は、古いコーキングを剥がし新しいコーキングを注入するわけですが、これだけ聞くととても簡単なように感じますが、実際の作業では高度な技術が必要なのです。防水施工技能士(シーリング防水工事作業)という国家資格があり、業者を選ぶ際は有資格者が存在するかしないかが選ぶポイントになるかと思います。
縦樋を固定する金具による不具合のお話をしてきましたが、では雨樋本体に不具合が起きた場合はどうでしょうか。
縦樋を固定する金具がコーキングに打ち込まれていない場合でも、取り付け具合が不十分な場合があります。
新築での設置や修理時などに施工不良があった場合、縦樋本体に問題が起きてしまうこともあるので注意が必要です。通常では簡単に破損しないはずですが、普段の雨や風で折れてしまったり、ひび割れや破損してしまうこともあります。金具での固定がいかに不十分だったかが、こういった不具合で判明するということになります。
金具での不具合などではなく、経年劣化や自然災害、日常の雨や風、雪などでも縦樋の素材はダメージを受けてしまいます。縦樋以外の雨樋も同じです。
では、雨樋の不具合はどういったことが起きるのでしょうか。
固定している金具が外れてしまい、雨樋が折れてしまう、台風などの影響で変形してしまう、車やボールなどが当たり破損してしまったり亀裂が入ってしまうなど様々です。これらは経年劣化している場合に非常に起こりやすいです。
不具合の中でも破損して割れてしまっている場合は、まわりに飛び散っていることもありますので注意が必要です。
こういった不具合が起きている場合は、雨水が溢れ出てしまったり、水溜まりが出来ていたり、縦樋を固定している金具を通じて外壁に水が当たることで、外壁の劣化も早まりますし、外壁に不具合がある場合は外壁の内側へ雨水が侵入してしまう可能性もあります。そうなってしまうと非常に厄介ですので、縦樋や他の雨樋の不具合に気付いた場合は早急に補修依頼をするようにしましょう。
建物に関する会社などの営業マンの方とお話すると、意外と縦樋についてきちんとした知識を得ている方は少ない傾向にあります。
ですので、ご自身がきちんとした知識を身につけていると業者を選ぶ際も少しは安心できるのではないでしょうか。大切な家を守るため、快適に暮らすためにも自分の目で確かめるのはとても大切なことですので、普段は見ることがあまりない外壁や雨樋を1度見てみるとよりわかりやすいかと思います。