中国・四国地方には、台風の上陸数の多い都道府県があるので、その分台風被害を受ける機会も多いといえます。
そのため、中国・四国地方に住んでいる人の中には、台風予報が出されるたびに不安を感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
台風が近づいてきた場合、事前準備をしたうえで、危険な場所に近づかないようにすると被害を最小限に留めることができるはずです。
このコラムでは、中国・四国地方の台風に不安を感じている方に向けて、台風までに備えておくことや、過去の台風被害の規模について紹介していきます。
過去の教訓から、被害を未然に防ぎたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
こんな方におすすめ
- 中国地方で台風対策を知りたい方
- 四国地方で台風対策を知りたい方
- 台風接近時に何をしたらいいか知りたい方
台風上陸に備えてやっておくべきこと
台風の予報が出た後、被害を防ぐための事前準備を行うことが大切です。
ここでは、台風接近までにやっておくべき準備についてまとめました。
避難用品の準備と確認
台風上陸によって被害を受けそうな場合、避難生活を余儀なくされるケースも想定されます。
避難する際に持ち出す非常用品の準備は、台風が上陸してからでは間に合いません。ですから、事前に非常用品を避難袋に入れておき、その内容を確認しておくことが大切です。
避難する際に持ち出す非常用品として、最初に衣服や食料を準備しましょう。
食材については、家族の人数分×1週間を目安に用意することをおすすめします。
断水して十分に水が確保できないことも考えられるので、飲料水も多めに用意して、浴槽に水を溜めておきましょう。
懐中電灯も避難時の必需品です。
台風被害が発生すると、強風によって断線したり、倒木などによって停電したりするリスクがあります。
避難時の足元の安全確保のためにも、電池と一緒に懐中電灯を用意しておきましょう。
その他、救急薬品を準備しておくと安心です。
避難する際、台風の豪雨や強風でけがをする可能性もあるからです。
また、日頃から処方している薬がある場合は、お薬手帳と一緒に持っていきましょう。
最近では、情報修習にスマートフォンを使う方が多いですが、停電時には充電が切れてしまう可能性があります。
大容量のモバイルバッテリーを用意したり、充電切れに備えてラジオを持参したりするのがおすすめです。
ただし、あまり荷物が多すぎると、避難所への移動が大変になってしまうかもしれません。
避難時には、手を塞がないようにリュックに荷物をまとめるようにしてくださいね。
家屋の被害対策
台風が上陸すると、豪雨と強風によって自宅が損傷する場合も多いです。
そのため、家屋の損傷被害を防ぐための事前準備をしておくことをおすすめします。
まず、家屋の壁や屋根を点検して、耐久性が低下している場所があったとき、その部分は補強しておきます。
台風では、強風によって横なぐりの雨が降るため、外壁に亀裂があると雨漏りの原因になることが多いです。他にも、窓サッシやベランダの劣化も雨漏りのリスクを高めてしまいます。
台風が接近してから慌てて補修をするのは大変なので、日頃から定期的に家屋のメンテナンスをして、外壁や屋根のコンディションを整えておくと安心ですね。
雨戸のない窓は、台風の豪雨や強風で割れてしまうケースもあります。
窓の破損を防ぐため、ガラス部分に補強用の専用テープや段ボールを貼っておきましょう。
また、大量の雨水が入ってきても詰まらないように、側溝や排水溝、雨樋をきれいにしておくことも大切です。
床上浸水のリスクが高い地域では、玄関前に土嚢を積むこともおすすめです。
家財は高い場所へ移動させる
台風の影響で大量の雨水が家屋の中に入ってくると、家財が浸水被害を受けてしまう可能性もあります。
そのため、浸水被害を受けないように、家財を高い場所へ移動させましょう。家屋が2階建の場合、家財は2階に移動させたほうが好ましいです。
適切な避難場所の確認
台風上陸後、被害の状況によっては早めに避難しなければならないケースもあります。そのため、学校や公民館などの適切な避難場所を事前に確認しておき、スムーズに行動できるようにしておきましょう。
日頃、スムーズに通れる道でも、冠水やマンホールからの出水によって危険な状況になっていることも考えられます。そのような場合に備えて、予備の道を調べておくことも大切です。
台風接近中に近づいてはいけない場所
台風が接近するにともなって、雨や風が強くなって被害が生じやすくなります。
以下の場所は、台風接近によって危険をともなうケースが多いので、近づかないようにしましょう。
海は高潮によって危険!
台風が近づくと、豪雨や強風によって海の波が高くなり、海水が防波堤を超えて道路まであふれてきます。
海付近を歩いていたり、車で走行していたりすると、海水に飲みこまれてしまうこともあります、状況によっては命を落とす危険もあるので、台風接近中は海に近づいてはいけません。
川・用水路は越水に注意!
台風が近づいて雨の量も多くなると、川の水位も上昇します。
まだ大して雨が降っていないように見えても、川の上流で大雨になっている場合、急激に水位が上昇することもあるので、要注意です。
川の水位が上昇すると、堤防が決壊して川が氾濫しやすくなるので、その分浸水被害を受ける可能性も高くなります。
台風の接近によって大量の雨水が流れ込むと、用水路に流れる水の量も多くなって道路にあふれます。
このような状態になると、用水路と道路との区分がわからなくなることが多いです。用水路付近を歩いていると、足をとられてけがをしたり、流されたりする危険があるので、近づいてはいけません。
特に、農家の方などは田んぼの様子を見に行って事故に遭うことが例年報道されています。
成人男性でも50cmの浸水があると歩行困難になるとされているので、道路が冠水しているときは出歩かないように心がけましょう。
山・崖の近くは土砂崩れの危険大
山間部の集落では、落石や土砂崩れのリスクが高まります。
雨が止んだ後も地盤がゆるんでいるので、のり面の崩れている場所には近づかないように気をつけてください。
また、自宅が山に囲まれている場合は、台風の勢力が強くなる前に早めに避難することが大切です。
避難所に行くことが難しい場合は、知人や親戚の家でもいいので、土砂崩れに巻き込まれない安全な場所に避難するように心がけてくださいね。
中国・四国の過去の台風被害
台風上陸前の対応策として、過去の被害について把握しておくことも効果的です。
中国・四国地方に上陸した過去の台風とその被害規模について知っておき、その知識を台風上陸前の事前準備に役立てましょう。
そこで、中国・四国地方に上陸して被害をもたらした過去の台風のうち、平成30年台風21号、平成26年台風11号、平成16年台風6号の3つの事例を紹介します。
平成30年台風21号
平成30年8月28日、小笠原諸島の南鳥島近海で台風21号が発生しました。
その後、北西方面に進んだ後、9月3日に北側に進行方向が変わって、9月4日に徳島県南部に上陸しています。
台風上陸にともない、徳島県を含む四国地方では、豪雨や強風とともに高潮が発生しました。
また、高知県室戸市の室戸岬で吹いた風は、最大風速が48.2メートル、最大瞬間風速は55.3メートルを記録しています。このときの風の規模は、風の強さの用語の中で一番上のランクにあたる「猛烈な風」に相当するものでした。
台風21号により、徳島県内だけで約190戸の停電が発生し、ライフラインへの影響が出てしまいました。また、木が倒れて家屋が全壊する被害も発生しています。
平成26年台風11号
平成26年7月29日にマリアナ諸島付近で台風11号が発生しました。その後、台風の勢力の強さを維持したまま北側へ進行し、8月10日に高知県の安芸市に上陸しています。
台風11号の上陸と前線の停滞が重なったこともあり、高知県では8月26日までの総雨量が2000ミリを超える地域も出ました。また、がけ崩れや川の氾濫により、約260棟の家屋損壊、約1900棟の浸水の被害が発生しています。
台風と停滞した前線による大雨は、平成26年7月30日から8月26日まで続きました。そのため、この期間の大雨は、気象庁より「平成26年8月豪雨」と名付けられています。
平成16年台風6号
平成16年6月13日に東南アジアの東側で台風6号が発生しました。その後、勢力を拡大しながら北側に進行し、6月21日に高知県の室戸市付近に上陸しています。
高知県室戸市の室戸岬では、最大瞬間風速57.1メートルを記録する強風が吹き荒れました。
この台風の影響により、高知県内だけでも700戸の停電が発生しています。また、徳島県海南町の山辺では、かけ崩れが発生して県道が通行止めになっています。これにより、60世帯120名が孤立状態となる被害を受けました。
まとめ
室戸岬は台風の上陸コースになりやすいこともあり、高知県をはじめとした中国・四国地方では大きな台風の被害を受けやすくなっています。
中国・四国地方にお住まいの方は、台風接近に慣れている方もいるかもしれませんが、油断せずに最善の準備を尽くすことが大切です。
また、例年台風シーズンには雨漏り被害も多数報告されています。台風によって雨漏りが発生したら、プロの業者に点検・修理を依頼することをおすすめします。