大雨に関するニュースを聞いていると、様々な言葉が飛び交っており、なんとなく大変な雨なんだなということはわかるものの、言葉の意味を詳しく理解するのはなかなか難しいものです。
大雨警報は、大雨によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合に発表されます。1時間雨量が50mm以上又は土壌雨量指数が基準(115)以上と予想される場合とされていますが、都道府県によって市町村ごとの基準表が設けられているところもあるため違いが出てきます。
記録的短時間大雨情報は、気象庁が大雨警報を発表し、その間に短時間に猛烈な大雨を観測した場合、より一層災害への警戒を表すものです。
数年に一度の記録的豪雨を観測解析し、発表されるものですが、これは大雨が降っている地域にとって浸水や洪水、土砂災害などが起こる恐れがあるほどの雨量であることを表しており、気象庁が発表する基準となるキキクル(危険度分布)の危険を表す色が紫になっている場合に発表されます。
キキクル(危険度分布きけんどぶんぷ)とは、気象庁が発表する防災気象情報の1つであり、大雨による土砂災害・浸水害・洪水災害の危険度の高さを地図上で確認できるシステムです。
災害の危険度が5段階で色分けされており、地図上にリアルタイムに表示されます。キキクルという呼び名は、危機が来るからきているそうです。
この大雨情報は、昭和57年7月に起きた長崎豪雨をきっかけに、翌年の昭和58年から発表されるようになりました。
それまでは大雨注意報や警報だけでしたが、それだけで注意喚起を呼びかけるのは不十分だと考え導入されたものです。記録的な短時間の大雨により、危機的な災害が起こる危険性があることを強く伝えるための警告となります。
ですが、そんな強い危機を伝えるための数年に一度の記録的短時間大雨情報だったはずが、いつの頃からか頻繁に発表されるようになってしまい、人々は耳には入っているものの危機感が薄れてしまうのではないかという心配が出てきました。気象庁の観測地点が増えたことや雨量を測定するデータが増えたことが原因ですが、地球温暖化などによる天候の変化により大雨が増えているということも実際考えられます。
そのため記録的短時間大雨情報の基準となる雨量が大幅に見直され、2001年4月より最大30ミリ引き上げられています。
大雨警報に加えて、記録的短時間大雨情報が発表されたときは、浸水や洪水、土砂災害が起こる危険性があるほどの雨が降っているということになります。
どの場所で危険が高まっているのか詳しく知りたい場合は、キキクルで確認することが可能です。
市町村から避難命令が発令された場合は、適切な避難行動をとる必要があります。必ずしも避難しなければならないというわけではなく、自宅の周りの状況を確認し、避難するかしないかはご自身で判断する必要があります。避難命令が発令されていなくても、危険を感じた場合には早めに避難するようにしましょう。
記録的短時間大雨情報と同じではないかと思いがちなのがゲリラ豪雨です。
この言葉の方をよく耳にするという方は多いかもしれませんが、気象庁が定める正式な気象用語ではないのです。
ゲリラ豪雨は、予測されていないにもかかわらず、突然激しく降り始める豪雨です。雨が降り出す直前になると、突然空が暗くなり積乱雲に覆われます。
誰もが何だか様子がおかしいなと感じる空模様に加え、雷が鳴り響き激しい雨が降り出します。時には傘も役に立たないほど強く降るため、当たると痛みを感じるほどの強さであったり雹が降ることもあるため危険な雨でもあります。ゲリラ豪雨が降り出しそうだなと感じたら、すぐに安全な屋内の場所へ避難する必要があります。
大雨は、時に人命に危険を及ぼす恐ろしい降り方をします。
大雨による災害からどのようにして大切な命をまもるのか、それは正しい知識と行動を知ることです。
自然災害が起こりにくい場所に住むというのが安全ですが、戸建てにお住まいであれば住む場所を変えるのはなかなか困難なことです。
お住まいの場所のハザードマップを日頃からきちんと確認し、自宅のある地域の危険性を知り、いざという時の対策を考えておくことが大切です。
どこの場所にお住まいであっても自然災害はいつどこで起こるのかわからないものです。予測はできても確実ではないのが自然災害の恐ろしいところです。
大雨は時に大きな水害を起こし、土砂災害や洪水による浸水などを起こしますが、雨が降り始めてすぐに災害が起こるわけではないのが救いです。
降り始めて危険だと感じるまでに正しい行動をとることで命を守ることができます。危険信号である大雨警報や記録的短時間大雨警報が発表された際には、危険な場所には近付かず直ちに安全な場所に避難すること、自宅にいる場合は不用意に外出しないようにし、洪水の危険がある場合は、下の階の荷物をできるだけ2階以上へあげるようにしましょう。