梅雨に入ると、雨が降ったりやんだりを繰り返し、つかの間の五月晴れが見られたと思ったら、また雨といった不安定な天候が続きますよね。
そんな中、気温も湿度も上がると注意しなければならないのが食中毒です。食中毒は、原因となる因子や物質によって分類されており、細菌性食中毒・ウイルス性食中毒・化学性食中毒・自然毒食中毒・発酵食品や腐った食品など様々です。
こういった種類の中で、高温多湿な梅雨から夏場にかけて発生するのは細菌性食中毒であり、O-157などの腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、サルモネラ菌などの菌が存在します。
お弁当は冷めてから蓋をし、保冷剤を入れた対策をすると良いといいますが、これは食中毒の菌が15°C〜40℃で増殖をするためです。温かいまま長時間たってしまうと、食中毒の原因になりやすいため注意が必要です。
ですが、食中毒は夏だけのものではなく、寒い冬場に発生するノロウイルスなどのウイルス性食中毒も存在します。気温と湿度が高くなる梅雨時期から食中毒に注意する必要がありますが、年間を通して食中毒の発生が意外にも多いのは、本格的な夏が過ぎた9〜10月頃となります。秋に向かって気温がだんだん下がってくる時期ですが、まだまだ日中は暑い日が多く、運動会でのお弁当や、BBQの時の生焼けや食材の保存方法には気をつけなければなりません。
細菌やウイルスによって食中毒になると、下痢や嘔吐、腹痛や発熱などの消化器の症状を発症しますが、原因物質によっては毒物として作用することもあります。菌の感染経路や感染するとどのような症状が出るのか、食中毒の原因として多いものを見てみましょう。
黄色ブドウ球菌
この菌は細菌の一種で、この菌の増殖により腸管毒素であるエンテロトキシンが発生することで、摂取すると食中毒を引き起こします。
菌自体は熱に弱いのですが、この菌から発生した毒素は熱に強く、加熱では防げずほとんどの食品で食中毒を発生します。
感染経路となるのは、ヒトの手などの化膿した傷や皮膚、鼻水や口の中、髪の毛などにも存在します。調理中の作業工程が原因となるため、食品を素手で触るときは手洗いや除菌をきちんとすること、傷口がある場合は手袋やラップを使用し、直接手が触れないようにすることが必要です。感染した場合、潜伏期間は1〜5時間と言われていますが、症状として吐き気や嘔吐、下痢が2〜3日続くことがあり、酷い場合は稀に発熱することもあります。特効薬などはなく、下痢を出し切ることが一番の回復方法となります。
下痢だからと薬を使用して止めてしまっては逆効果となってしまうので薬の服用には注意しましょう。
サルモネラ菌
この菌は、人間の腸内、牛や豚や鶏などの家畜の腸内、下水や川など自然界のいたるところで生息していている細菌です。
ペットが菌を持っている可能性もあるため、触ったあとは手洗いや除菌することが大切です。
牛や豚や鶏などの肉や卵から手を介して感染することがあります。加熱後であっても、手から調理器具に菌が付着していた場合は、食品にうつることもあるため、それらを食すことで感染します。
潜伏期間は数時間から2日間ほどと幅があり、悪寒や嘔吐、腹痛や下痢といった症状が起こります。発熱や、酷い場合は血便が出ることもあり、回復には5日ほどかかり重症化しやすい感染症です。血液中に菌が入った場合などは抗生剤を使用することもありますが、通常は薬は使用せず水分を適切に摂取しながら出し切ることが治療となります。
病原性大腸菌
この菌はいくつもの種類に分類されていますが、その中でもO-157などの腸管出血性大腸菌は食中毒の原因となります。草食動物が保菌していますが、糞便から食肉や野菜が汚染され、それらを口にすることで感染します。O-157などの腸管出血性大腸菌の潜伏期間は数日から1週間強と長く、他の病原性大腸菌の場合は、数時間から2. 3日と言われています。病原性大腸菌の中でも腸管出血性大腸菌に感染した場合は、ひどい腹痛や下痢に襲われ、嘔吐に加え出血を伴った下痢などが起こる場合もあり大変危険です。死に至るケースもあるため、適切な治療をすることが大切です。
他にカンピロバクターや腸炎ビブリオなどの菌もありますが、主に冬場に発生するノロウイルスは、牡蠣を含む二枚貝が原因とされています。
菌を保持したものを食したり、菌が付いた他の食材が体内に入ることで感染し、2日ほど潜伏することが多く、腹痛や下痢、吐き気や発熱などの症状が起こります。
原因ウイルスであるノロウイルスは、人の腸管内のみで増殖しますが、乾燥や熱に強く生存期間が長いのが特徴です。感染力が非常に強いため、少しのウイルスでも感染します。上記と同じく下痢は止めず、適切な水分摂取をしながら回復を待つ形となります。脱水には十分な注意が必要です。
食中毒は、飲食店に限らず家庭内で起こる可能性も非常に高いものです。
調理器具などは常に清潔に洗浄や除菌をし、こまめに手洗いをきちんと行うことが大切です。冷蔵や冷凍が必要なものを常温に置きっぱなしにしたり、調理後の物であっても、すぐに食べない場合は冷めたら冷蔵庫に入れておくことが大切です。