夏本番と言っていいほどの暑さが続く中、太陽の動きに基づいた暦である二十四節気において、2023年は8月8日(火)に立秋を迎えます。
立秋(りっしゅう)とは、暦の上では秋が始まる日であり、実際の気候からはまだまだ秋は感じられませんが、立秋の翌日からは残暑ということになり、この時期出される暑中見舞いは、残暑見舞いへと切り替わります。二十四節気は、1年を4つの季節である春夏秋冬にわけ、さらにその1つの季節を6つにわけたものを表しています。
二十四節気の1つの期間は15日間、その中で立春、立夏、立秋、立冬は、四季のはじまりとされています。日本では、太陽暦である旧暦が千年以上に渡って使用されてきましたが、日本人は自然と共に生きる文化があるので、二十四節気の季節をさらに細かく5~6日ごとにわけ、七十二もの季節の変化を取り入れていました。
季節感を大切にする日本独特の七十二もの気候の変化を七十二候(しちじゅうにこう)と呼んでいます。立秋から残暑の頃の七十二候はどんな呼び名があるのか見ていきたいと思います。
第三十七候
涼風至(すずかぜいたる)は、 8月7日〜8月11日頃のことです。立秋を迎え、まだまだ残暑の暑さは厳しい頃ですが、夕暮れ時などの雲の色や、ふとした風に秋の気配を感じられる時期です。
第三十八候
寒蝉鳴(ひぐらしなく)は、8月12日〜8月16日頃のことです。夕暮れ時になると聞こえる、どこか寂しげな鳴き声。カナカナカナという鳴き声が聞こえ始めたらそれはヒグラシです。セミの多くは夏の季語となっていますが、ヒグラシや法師蝉(ツクツクボウシ)は秋の季語となっています。
第三十九候
蒙霧升降(ふかききりまとう)は、8月17日〜8月22日頃のことです。見慣れない文字である蒙霧とは、濃い霧のことを表しています。この頃、朝晩になると涼しく感じられる日もあり、山付近では深い霧が発生し、冷えた空気が漂う頃です。残暑の厳しい頃に冷たい空気が秋の訪れを感じさせます。
第四十候
綿柎開(わたのはなしべひらく)は、8月23日~8月27日頃のことです。残暑の厳しい暑さの峠を越した処暑に入ります。柎とは萼のことで、綿の実を包んでいた萼が開きはじめ、中から綿毛が顔を出してくる頃という意味です。
第四十一候
天地始粛(てんちはじめてさむし)は、 8月28日〜9月1日頃のことです。まだまだ暑い季節ですが、夏の暑さはおさまり始め、秋雨前線がやってくる頃となります。
第四十二候
禾乃登(こくものすなわちみのる)は、9月2日〜9月6日頃のことです。処暑も終わりに入り、穀物が実り始める頃となります。禾というのは、イネやノギとも読むことから、穀物を総称した言葉となっています。
第四十三候
草露白(くさのつゆしろし)は、 9月7日〜9月11日頃のことです。七十二候が白露に入り、朝晩の気温が下がるときに朝露が見られるようになります。
第四十四候
鶺鴒鳴(せきれいなく)9月12日〜9月16日頃のことです。小鳥のセキレイが鳴き始める頃となります。羽の色は白・背黒・黄の3種類あり、ハクセキレイ・セグロセキレイ・キセキレイと名付けられています。秋の訪れを感じさせてくれます。
第四十五候
玄鳥去 (つばめさる)は、 9月17日〜9月21日頃のことです。白露も終わりに入り、ツバメの移動が始まるときです。季節が寒くなる前に、子育てを終えたツバメが暖かい地域へと移動します。ツバメの姿を見かけなくなったなと感じたら、それは秋の訪れを知らせている証拠です。
立秋から残暑の頃の七十二候は、このように季節を表す呼び名が付けられています。
残暑の終わりは明確な日付がなく、暑さがなかなかおさまらない立秋から秋分までの期間を残暑が厳しいと表現することが多いです。
立秋の時期は、お盆の期間があるため、家族や親族が集まり、先祖を供養するために盆入りである8月13日頃に迎え火を焚き、盆明けには送り火を焚くという習わしを行う家もあるでしょう。昔からの風習を行うことで、またこの時期が来たんだなと夏を感じることができると思います。
立秋に旬を迎える食べ物や花も楽しめます。野菜の旬はナスです。果物は桃、魚では、スズキがとても旬です。花はひまわりが見頃を迎えるため、ひまわり畑に足を運んでみてはいかがでしょうか。ひまわりは、中国語では太陽花、英語ではSunflowerと呼ばれており、太陽と関係しているひまわりからは、たくさんのパワーを貰えることでしょう。
露草(つゆくさ)も立秋の旬の花で、鮮やかで綺麗な青い花が咲きます。露草のあざやかな青色に、朝露が付くと、とても清涼感があり、朝の気分を涼しげに感じさせてくれるでしょう。露草は、蛍を飼うときに一緒に中に入れることが多く、別名として蛍草とも呼ばれています。
七十二候とは、日本の古代から伝わる季節や自然現象を表す72の節目を示す暦のことです。季節感を感じる言葉が多く、深く日本の文化の素晴らしさや和の雰囲気を感じることができますね。