戸建にしても集合住宅にしても、外壁の劣化を考える前に気掛かりなのが、「雨だれ」です。
窓枠やベランダの隅から、黒っぽく線上に汚れているのが認められます。度々の雨水に、土埃や汚れが混じって流れた跡なのです。風向きや陽当たりなど、立地条件や壁材によっても雨だれのできる度合は異なってきますが、経年劣化を可視化しているようで、綺麗に落としたい気持ちが募りますよね。自分でできる洗浄方法と、その注意点をお知らせします。
外壁の雨だれは水だけでは落ちない
自宅の外壁に雨だれを見つけたら、まずは自分で落とせないかと考えます。たわしやスポンジを使って水洗いしてみようと、チャレンジする方が多いことと思います。しかし、かなりしつこい雨だれは、水洗いだけでは落ちません。デッキブラシや強い力でゴシゴシ擦ると、外壁材を傷つけてしまうこともあります。
なぜ、外壁の雨だれは水洗いで落とすことができないのでしょう。
雨だれの原因は、雨によって外壁に付着した汚れが、洗い流されなかったために、乾燥するのと同時に外壁にこびりつくことを繰り返して、だんだん色濃くなっていきます。
雨だれの汚れの中には、大気中の土埃や花粉だけではなく、排気ガス、雨水の炭酸カルシウムなど化学物質も含まれています。目に見えない小さな汚れや、油分を含んでいる汚れは完全に落とし切ることができません。
自分で雨だれを取り除く方法
水洗いだと擦っても落とせない雨だれを、何とかしたいと考えている方に、自分で雨だれを取り除く方法をお知らせします。
・中性洗剤で洗い落とす
外壁のしつこい汚れには、化学物質も含まれていることから、水では落とせませんが、食器用洗剤やお風呂用洗剤など、普通に使っている中性洗剤が効果的です。
まずは、ホースで水を掛けて土や小さなゴミなどを洗い流し、こびりついた汚れを浮かせます。その後、ぬるま湯でうすめた中性洗剤を、スポンジや雑巾などにたっぷり含ませて、汚れを落としていきます。強く擦ると外壁を傷つけてしまうので、優しく洗うのがポイントです。雨だれが消えた後は、洗剤分が残らないように、もう一度水で洗い流します。
酸性やアルカリ性洗剤、研磨剤入り洗剤を使うと、外壁を傷つけたり、変色を招く恐れがありますから、洗剤の使用には十分注意しましょう。
・市販の外壁用クリーナーで洗う
家庭用中性洗剤でも落ちない汚れには、ホームセンターなどで購入できる外壁専用クリーナーの使用をおすすめします。
「外壁汚れの達人クリーナー(株式会社友和)」
外壁だけでなく、玄関周りにも使えるスプレー式洗浄剤です。
「マジックアマドーレ(株式会社コスケム)」
水で希釈して使用します。雨だれ除去に特化したクリーナーで、外壁汚れをキレイに洗い落とします。
・高圧洗浄機で洗い落とす
新しく購入すると1万~7万円程かかりますが、高圧洗浄機の強力な洗浄力で取り除く方法もあります。雨だれや外壁だけでなく、玄関外、駐車場、門扉汚れなどにも使用できるので、高額出費になりますが、使用頻度を検討の上で、購入してもいいかも知れません。
水を吹きつけるだけでキレイになりますから、簡単ですが、反面、水圧を上げて洗うと、外壁を傷めてしまったり、汚れの飛び跳ねが他所に付いてしまったり、騒音も出ますから、注意する必要があります。
自分で雨だれを取り除くときの注意点
外壁の雨だれを業者に依頼すること無く、自分で解決できれば、都合の良い時に、費用をかけずにキレイにすることができます。しかし、注意してやらないと外壁の破損や劣化、大怪我の原因になることもあります。
・風の強い日や雨降りの洗浄は避ける
強い風の日や雨降りに洗浄しても、また土埃や汚れが付着してしまいます。外壁を洗う時は、風のない穏やかな日を選んで、濡れた壁もすぐに乾燥するようなお天気の日を選びましょう。
・高所作業は2人以上で行う
1階上部や2階部分の外壁などに付いた雨だれの汚れを落とすときは、ハシゴや脚立を使用します。踏み外したり、転落したりしないように、十分な注意が必要です。1人がハシゴに登って作業する時は、必ずもう1人が下で支えながら補助をするなど、二人以上で安全確保の上で作業するようにしましょう。
・外壁の状態によっては高圧洗浄できない
外壁が経年劣化により、ひび割れや剥がれ、浮きなどが見られる時に高圧洗浄すると、水圧によってよりひび割れを悪化させたり、剥がれ落ちたり、建物内部に水が浸入して雨漏りの要因となる場合があります。素人判断ができない場合は、高圧洗浄以外の方法で自分で汚れを取るか、専門業者に相談してみることをおすすめします。
無理はしないこと、が一番です。
まとめ
今回は、壁の汚れ「雨だれ」をキレイにしたいをテーマに書きました。いかがでしたか?これぐらいは、自分でできるだろうと、深く考えずに水をジャージャー掛けてしまうと、汚れはとれないし、水が入り込んで内部雨漏りを引き起した、なんてことになりませんように。汚れの様子をよく見て、少しずつ試してみることが大切です。スポンジで洗ってみたけど、取れないから洗剤を使ってみる、その結果キレイに取れないけど、薄くなったからしばらく様子を見ましょう。このような安全策の方が、高圧洗浄機をいきなり使うより、建物のために良い方法と言えるでしょう。