震災時に貯蔵水として利用されていたこともあり、気になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、雨水タンクというものをご存知でしょうか？
屋根に降ってきた雨は、通常であれば屋根に設置されている雨樋へと流れ、縦樋を伝って排水されます。家庭用の雨水タンクは、この屋根に流れた雨水がタンクに溜まるように取水口を雨樋に設置します。自然災害に備えて防災意識が高まる中で、雨水タンクを設置したいとお考えの方は、事前にメリットやデメリットなどの知識を得ることはとても大切です。
雨水タンクを設置し雨水を再利用することは、どんなことに繋がるのか見ていきたいと思います。
雨水を溜めて利用するといっても、雨水は浄水ではないのでどんなことにでも利用できるわけではなく、そのまま利用できるものには限りがあります。
主に植物や畑、家庭菜園などの水やりに利用できます。他には洗車や玄関などの掃除などにも利用できるでしょう。水やりに雨水を使うメリットとしては、カルキや塩素が含まれていないので植物などには安心ということです。また、普段から水やり用に多くの水道水を使用しているお宅の場合は、水道代の節約にも繋がります。微々たることに感じるかもしれませんが、雨水を利用する量が多ければ多いほど、節水に対する意識は高まるでしょう。災害時などでは、飲料水やお風呂などに利用することはできませんが、断水時のトイレを流す水としてはとても役立ちます。
では、実際に雨水タンクを設置した方はどんな感想をお持ちなのでしょうか。
様々な意見を調べてみると、メリットよりもデメリットの方が目立つ印象でした。
まず、雨水タンクを設置するにあたって場所の確保が必要になります。タンクの大きさにもよりますが、大きければ大きいほど広さが必要であり、設置する前と後では想像よりも圧迫感があるとの声が多かったです。
なので必ずタンクの大きさを十分に把握し、設置後どのように庭や通路が変化するのかを想定しておく必要があります。
そしてデメリットとしての声が多く見受けられたのが、設置費用に対することです。
雨水タンクは、ご自身で設置をすれば費用が抑えられますが、取水口を雨樋に取り付けたり、タンク内へなるべく不純物が入らないように設置するには、やはり業者へ依頼するのが1番安全な方法といえます。ですが、業者へ依頼をすればそのぶん費用は増すため、水道代の節約でかかった費用を回収すれば良いと考えるようですが、雨水を利用できるものは限られていることから、あまり節水にならず、長年利用しても回収できていないということでした。また、天候にも左右されるため、たくさん降ればそれだけタンクにも雨水が溜まりますが、雨が降らない日が続けば溜まらないため、使いたい時に勢いよく出ずに時間がかかるなど、水道とは違いいつでも使いたいだけ使えるというわけではないようです。
私たちが生活する上で、水を使用する場面は多くありますが、飲用や調理、食器洗いやお風呂、洗濯などがメインの使用用途かと思います。
ですが、雨水はこのメインの使用に利用することができないため、節水目的で設置した方には期待外れといった感想になってしまうようです。
唯一、トイレには使用可能ですので、トイレに利用をすれば節水に繋がるとは思いますが、トイレをする度に毎回雨水タンクから水を持ってくるということを考えると、災害時でない限り日々の生活の中ではなかなか難しいといえます。他にも、設置してわかったこととして、雨水タンクは設置して終わりというわけではなく、時として管理が必要であるということです。設置状況によっては雨樋の汚れなども一緒にタンクに入ってしまい、タンク内にゴミや虫などが蓄積したり、水漏れが起きたりすることもあるので注意が必要のようです。
しかし、大きなメリットと言えるのが、雨水タンクを設置すると自治体によっては補助金が出るところもあることです。
設置費用の面でお悩み中である場合は、お住まいの自治体に確認してみてください。費用が補助金で補えるとなると、設置するメリットは大きくなるご家庭もあると思います。
また、使用目的が明確に決まっている場合などは、タンクの大きさをそれに見合った大きさにすることが重要です。小さいより大きい方が良いだろうと安易な考えで設置してしまうと、場所もそうですが雨水が溜まった時の重量も問題になってきます。ベランダなどに設置する場合は、耐荷重量を必ず確認するようにしましょう。
水やりなどに使う程度という場合には、小さいサイズがオススメです。
小さければご自身で設置することも可能な場合もありますし、設置後の場所がどのように変化するのかも想定しやすいでしょう。メリットデメリットそれぞれありますが、雨水を利用することで水の大切さを実感できることは間違いないと思いますので、ご検討中の方は雨水タンクのある生活を想定してお考えください。
