近年、戸建ての住宅地では、隣接する家と家との間がほとんどなく、庭もほぼない家が増えており、その家の外観も昔とは違いお洒落な家が増えています。
パッと見お洒落な家を見ると、いいな素敵だなと誰もが思うと思いますが、そのお洒落な家には落とし穴があったりもします。
それは雨漏りしやすい屋根の形状であることが問題点としてあげられます。
皆さんが一般的に想像する屋根は、外壁から屋根の先がある程度飛び出ている屋根だと思います。外壁から屋根の先が長ければ、そのぶん雨から外壁を守ってくれるのですが、近頃増えているのは、この飛び出ている屋根の部分がほとんどない屋根です。この部分は軒と呼ばれる部分なのですが、この軒の部分がほとんどなく屋根の形状も片流れの屋根が増えています。
こういった屋根は一見とてもスッキリして見え、シンプルでお洒落に感じると思います。一軒一軒の土地幅が狭い住宅地などで多くみられるのですが、こういった造りは、雨が外壁にものすごく直接当たりやすく、それが原因で雨漏りが発生しやすくなっていまいます。
雨が当たりやすいとどうなるかというと、外壁に水染みができ、とても汚れやすく雨漏りが発生するリスクがあがってしまいます。
実際に国交省が出しているサイトのデータによると、軒の出の長さが仮に90cmの家と、15cmの家を比べてみると、軒の出が短い15cmの家は、2階部分の外壁は屋根に近いほどものすごく雨で濡れており、軒の出が90cmの家の方は屋根に近い外壁部分はほぼ濡れておりませんでした。軒の出の長さにより2階部分の外壁の濡れ方は大きく変わることがわかりますし、建物に対するダメージにも大きく影響します。
地球温暖化が進んでいる中で、天気の急激な変化によるゲリラ豪雨などが増えていますが、急激な豪雨などは雨漏りが発生する要因となるのに対して、雨漏りしにくい家ではなく、雨漏りしやすい家が増えているのが現状です。
その中でも特に雨漏りしやすいのが、軒の出が短く片流れの屋根の家が一番要注意というわけです。
新築住宅の場合は、10年以内であれば施行会社が直すという義務がありますので、早めに不具合を見つけることがとても重要になります。
軒の出の理想は90~120cmです。 軒の長さを十分にとることで雨漏りのリスクを減らすことができる上に、先々発生する外壁のメンテナンス費用を抑えることもできます。
1.2メートルの軒と庇の長さを確保することができれば、住宅一層分の外壁が雨や風、紫外線のダメージから保護されると言われています。
外壁を保護することは、大切な家の寿命を延ばすこともできますし、日本では1年を通して雨や風の大きな自然災害も起こるので、特に軒は重要な役割を果たします。木造住宅には必ず必要です。ですが、ただ長ければ長いほど良いというわけではなく、もちろん軒が長いほど外壁は守られますが、日光を遮ってしまうので室内が暗くなってしまうというデメリットもあります。ですので90cmあれば適度に日も入り、雨や風、紫外線から外壁も保護してくれるので、軒の長さを決める際は参考にしてみてください。
軒の役割は、雨漏りを防ぐだけではなく紫外線による外壁の劣化も軽減してくれますが、直射日光が当たるのを防いでくれるので、真夏などは外気温の影響も軽減してくれるので、空調の効率もかわってくるでしょう。
また、雨の日には窓が開けられないことがあると思いますが、軒があることで窓に雨水が当たるのを少量に抑えてくれるので、突然の雨で窓が開いていたとしても、風の強い雨でなければ入り込む雨は少量で済むでしょう。
また、外壁は外にさらされているため、雨や風のなどでホコリが付着し汚れやすいですが、軒があることで汚れが広がるのを防ぐ役目もあります。
ベランダに屋根がない家をよく見かけますが、雨が降ればベランダは水浸しになる上に、洗濯物も濡れてしまいますよね。
そうなるとベランダからの雨漏りも心配になってしまいます。軒の長さがベランダよりも長ければいいですが、2階の外壁に飛び出している状態のベランダがほとんどだと思いますので、それよりも軒を長くするのは風の影響などを考えるとオススメできません。近頃は2階の一部分をベランダ分凹ませた造りにして、軒部分がベランダの屋根になるように造られている家も多く見られます。外観もスッキリとして見え、また高級感も増すようです。
家を建てる予定のある方は、家のバランスやメリットデメリットを考えた上で、軒の長さを決めると良いでしょう。軒は1mを超えると建築面積に影響が出るため、建築費用も変わります。
また、軒を付けられなかったり軒の長さを十分にとれない場合は、外壁を水に強いものにするなどの方法もあります。建物にとって雨漏りは怖いものですので、必ず雨漏りしにくい家というのを頭に置いて外観を考えましょう。