日本には空き家がどのくらい存在しているかご存知でしょうか?
平成30年に行われた住宅・土地統計調査では、空き家の数は848万9千戸、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%となっており、過去最高になっているようです。
こういった空き家は、もちろん人が住んでいないわけですが、人が住んでいないということは、扉や窓の開け閉めがされず人が床の上を歩くこともないのですから、ホコリも立たずに家は傷むこともなく長持ちするのではないかと思いがちですが、実際は全く逆なのです。家は、人が住んでこそ長持ちし、人が住まなくなると一気に傷みやすくなるため老朽化が進んでしまいます。
それはなぜなのかと言うと、人が住んでいない家は、換気が不十分なため季節や天候によって、湿気が室内にこもってしまいます。
家にとって換気をすることは最も重要なことであり、湿気の行き場がなければ窓には結露が発生し、家の木材は湿気に含まれる水分を吸収してしまうことになります。
人が住んでいる状態であれば、少なくとも扉の開け閉めは行われると思いますので、それだけでも換気はされています。
扉も窓も開け閉めがされなければ、湿気がこもった状態が続き、カビや木材の腐朽の原因となってしまいます。
空き家に湿気がこもりやすい原因としては、雨戸がある場合は閉めっぱなしになっていることが多いからです。
これは、防犯上のことを考えると仕方のないことなのですが、家にとってはダメージを大きくする要因となります。
雨戸が閉めっぱなしということは、陽の光が一切入らないということになり、吸収した湿気の水分が乾燥することがなければ、劣化の進行は加速してしまいます。
また、使用されていないエアコンや水道の配管などは、害虫の通り道となるため入り込んでしまいます。空き家に害虫が住みつけば、細菌の繁殖から不衛生な環境となり、さらに家にとって大きなダメージとなってしまいます。
そんな空き家で起こると非常に厄介なのが雨漏りです。
雨漏りは、人が居住している家で起こった場合も非常に厄介ですが、空き家の場合は人が住んでいないので、すぐには気付かない、または気付きにくいということが、雨漏りの被害を大きくしてしまいます。
最悪の場合、家の崩壊に繋がってしまうので注意が必要です。
崩壊してしまった場合、周りに何も建物がなければよいですが、近隣に建物が存在している場合は非常に大変なことになってしまいます。
そうならないためにも雨漏りが起きている場合は早急な対処が必要です。雨漏りの主な原因は、屋根や外壁、窓のサッシまわりなどのコーキングの劣化です。
コーキングとは、外壁や窓のサッシまわりなどの隙間を埋めるためのゴム製のもので、住宅には至るところで使用されていますが、防水性などの性能が、日々の紫外線や雨風による経年劣化などで低下すると、ひび割れや剥がれが起こり、雨水が内部に浸入する恐れがあります。
人が住んでいる家であっても、外壁やコーキングの劣化状態を早急に発見することは難しく、日々の暮らしの中では、外壁をじっくり見る機会はあまりないという方が多いと思いますので、定期的な点検が必要となります。
空き家となると、尚更人の目に触れる機会が少ないため、気付くどころか劣化状態はどんどん進行してしまうのです。
気付いたときには、雨漏りの被害は大きくなっていることが多く、木材がダメになってしまえば修繕費は膨大になることが考えられます。ですが、人が住まない空き家を修理しようと思う方は、なかなかいないように思います。
では、どうすれば良いのでしょうか。
この先住む予定もなく、遠方で管理するのも難しいという場合は、建物を解体してしまうのも1つの手です。
もちろん解体費用はかかりますし、建物がなくなると宅地ではなくなるため、土地としての固定資産税は上がってしまいますが、建物が空き家の状態で放置されていれば、いずれ何らかの形でメンテナンス費用が必要となることもあります。
更地にして、他の方法でその土地を活用するという手段を取れば、収入を得られる可能性もあります。駐車場にして貸し出したり、他の方法で土地を貸し出すなどをすることで、収入を得られる上に管理も楽になることもあるでしょう。
家は、人が住むために建てられていることから、その目的とは違った扱い方では、やはり維持管理をするのは難しいということです。
現在ご自身が住んでいる家でも、人が住んでいない空き家でも、雨漏りには要注意ということがわかったと思います。
家は、どんな家であっても新築の状態のまま維持することは不可能なので、空き家のまま放置することになってしまった場合は、できるだけ定期的に訪問し、部屋の換気や掃除などを行うことで、劣化のスピードを早めずに済むでしょう。
湿気とホコリは家にとって大敵であることを頭に置いて、維持管理するようにしましょう。