霧というと、辺りが真っ白になって見えづらく、特に車の運転中に霧に差し掛かると大変危険なものですよね。そんな霧ですが、霧とは何か？と聞かれると、なかなかスムーズに応えられる方は少ないのではないでしょうか。霧とは何なのか、また霧の種類についても見ていきたいと思います。
霧とは、地面の表面にできる雲と言えば分かりやすいかもしれませんが、詳しく言うと、空気中の水蒸気がいっぱいになる過飽和状態になったり、水蒸気をたくさん含む空気が冷えることで、私たちの目にははっきりと見えないほどの小さな水滴や氷の粒となり、空気中を漂っているものです。
霧の粒子は雲と同じであり、直径0.01mmの大きさの粒が浮遊している状態なのです。
霧が発生すると、遠くが見えにくくなりますが、霧の濃さによっては近くも見えにくくなってしまいます。霧には種類がいくつかあり、それぞれ名称も異なります。実は、辺りが真っ白になっている状態が全て霧とは限らないことがあります。どこまで遠くが見えるのかがカギとなりますが、物がぼやけずにはっきり見える水平方向の距離が1km未満を霧と言い、1km以上の場合はもやと言います。
見える距離によって区別されるわけですが、これは気象用語で定められているものであり、なかなか個人の判断では霧ともやを区別することは難しいでしょう。
かなり見通しが悪く、1km未満どころか100mまでしか見えない場合は濃霧として区別することもあります。また、地上ではなく海上における濃霧の基準は、船の航行スピードからして100mでは危険を伴う可能性が高いため、500mで濃霧と判断されます。気象衛星の画像にも写っていることがあり、地上よりも危険を伴います。濃霧注意報というものがあり、これは地方により基準が異なる場合もあります。
霧の種類についてですが、発生する場所や要因によって種類が分けられています。
まず、移流霧と言われるものがあり、暖かい空気が地面や海面の温度の低さにより冷やされ、水蒸気が凝結して発生する霧のことです。
気象用語で、空気のかたまりが水平に移動することを移流と言うことからきています。この霧の代表的なものは、北海道の海面で発生する海霧と呼ばれるものです。暖かい空気が、風に流されて冷たい海に移動するため発生します。
次に放射霧と言われる霧は、主に明け方に見られる霧のことで、夜から明け方にかけて地面付近の温度が低くなることで水蒸気が冷やされ発生します。弱い風が吹き晴れていた夜の明け方に発生しやすく、晴れ霧とも呼ばれます。山間部の盆地などでは特に夜間に冷気がたまりやすいため放射霧が見られますが、日が照りだすと気温が上がるため、放射霧は次第に消えてしまいます。
上昇霧は、言葉の通り空気が上昇すると温度が下がる山などで発生します。
山は標高がどんどん高くなるにつれて空気の温度が下がっていくため、下からきた水蒸気は冷やされることで水滴となり霧が発生するのです。よく山を見ると雲が覆いかぶさっているように見えることがあると思いますが、実際に山にいる人たちにとっては霧の中にいる状態となります。
雲と霧は、発生場所や見る距離、人が感じている場所によって呼び名が変わるだけということがわかります。
蒸気霧と呼ばれる霧は、こちらも名前の通り蒸気のように見える霧ということであり、湖などから湯気のように白いものが上がっている状態の霧のことを言います。
水蒸気をたくさん含む空気が、冷たい空気と混合して発生することから、混合霧と呼ばれることもあります。湖などの場合は冷たい北風が吹き込むことで蒸気霧が発生するのです。
前線霧は、これまでの霧とはまた違った発生の仕方をする霧ですが、長雨を降らせる前線により湿度が高くなっているところに、上空から暖気により高温になった雨が降ってくることで発生する霧です。
似たような現象として、お風呂場で湯気がいっぱいになることがあると思いますが、その現象と同じです。
これらのように霧は5種類に分けられますが、発生場所や要因が違うものの、水蒸気が過飽和状態になったり冷やされることで水滴として現れ霧となるという現象は同じです。
霧が発生すると、見通せる距離は1km未満ですので、10kmよりも先に発生している場合は霧とは言えないのですが、今いる場所から発生している場所へ移動すれば霧となるわけで、言葉の定義は難しいものだと感じます。また、霧とは性質が全く異なりますが、気象用語で煙霧と言われるものがあり、それは水滴からなる霧ではなく、工場などから出される排気ガスや煙、砂ぼこりなどによってまわりが見えにくくなる状態のことです。水滴からなる霧と同じように、まわりが見えにくくなるということから名付けられたのだと考えられます。
注意が必要なのは、海上では移流霧だけではなく、蒸気霧や前線霧なども複合して発生することがあるため、海のレジャーなどの際には十分気をつけるようにしましょう。
