旅行や楽しみにしていたイベントの日に限って雨が降ってしまうとがっかりしますよね。
大切な日やお出かけするときに毎回のように雨天となってしまう人は「雨男・雨女」と呼ばれることもあります。
天気は地域や地区によって変わりますが、人によって雨に遭遇する確率が高くなるということはあるのでしょうか。
今回は、日常会話でよく聞く「雨男・雨女」について解説します。
雨の降る確率は誰でも同じ。「雨男・雨女」に科学的根拠はない
結論から言うと、雨男・雨女の存在については科学的に証明はされていないようです。
天気は気温や降水、雲量、風向、気圧などの影響を受けて刻々と変化しますが、天気予報は地域ごとの単位で発表されます。
つまり、その地域に住んでいる人が雨に遭遇する確率は一様です。
もちろん、住んでいる場所・訪れる場所によって雨の降りやすい地域差はありますが、個人単位で天気が変わるわけではありません。
また、日本は世界と比較しても雨の多い国です。
日本の年間降水日数は100日程度と言われ、3~4日に1日は雨ということになります。
雨男・雨女じゃないにしても、年間で雨に当たる確率が3割近くもあるため、たまたま旅行やイベントの日が雨になるのも珍しいことではないでしょう。
雨男・雨女と言われたり信じたりしてしまう3つの理由
しかし、実際に旅行をすると雨に当たりやすい人、イベントの日に雨が降るという人もいます。
雨男・雨女と言われる、または自分がそうだと信じている人はなぜそのように思うのでしょうか。
主に心理的要因によるものが大きな理由となっているようです。
理由その①確証バイアス
確証バイアスとは、仮説や信念を検証する際に肯定的な情報ばかりを集め、反証する情報を集めようとしない傾向のことを言います。
大切な日に雨だった経験が何度か続くと「自分は雨男・雨女なのでは?」と疑問が沸き、それを証明しようと「大切な日に雨が降った」ことを強く記憶に残すようになるのです。
一方で「大切な日に晴れた日」のことは「自分が雨男・雨女である」という仮説を否定する結果となるため、無意識に記憶に残らないようにしていると考えられます。
こうしたことが重なり、「大切な日に毎回雨になる=自分は雨男・雨女だ」という確証が生まれます。
これは「晴れ男・晴れ女」と言われる理由も同様です。
占いなどでよく見られますが、全てではなくても自分に当たっていることが混じっているだけで「この占いは当たっている」と納得してしまう「バーナム効果」があります。
雨か晴れかは、大体の場合どちらかに当てはまるため、自分が雨(晴れ)男・雨(晴れ)女だと信じやすくなるのではないでしょうか。
理由その②エピソード記憶で雨の印象が強くなる
とても楽しみにしていた日や試合の日など、自分にとって大切な日であるほど、そのときの記憶は強く残ります。
これはエピソード記憶と呼ばれ、できごとの内容(何を経験したか)だけでなく、できごとに関連するさまざまな付随情報(周囲の環境すなわち時間・空間的文脈、またそのときの自分の身体的・心理的状態など)と紐づいて記憶されるためです。
つまり、喜怒哀楽の感情を揺さぶる記憶は定着しやすく、さらに雨や晴れ、寒い・暑いなどその瞬間の環境と結びつくことで一層強い記憶となり定着します。
①や②をはじめ、ほかにもさまざまな心理的要因が重なり日本中どこでも「雨男・雨女」という表現が言われるようになったのかもしれません。
守護霊が龍神系である
心理的要因のほか、スピリチュアルな一説もあるようです。
映画『天気の子』でも出てきたように、憑いている守護霊(自然霊)の系統によって「雨男・雨女」もしくは「晴れ男・晴れ女」に分かれるとのこと。
自然霊は天候などの自然現象を司るといわれ、以下に分けられています。
- 龍神系
- 稲荷系
- 天狗系
- 弁天系
このうち、雨男・雨女は龍神系に該当する人、一方で晴れ男・晴れ女は稲荷系に該当する人です。
それぞれの系統によって人の性格や行動にも違いがあるようですが、雨男・雨女と言われる要因にこうした一説もあります。
「脱雨男・雨女が実現した」と感謝されることがある気象神社
雨男・雨女であるがために悩んだり困ったことがある人も少なくないでしょう。
日本で唯一の「気象神社」では、「雨男・雨女を脱した」と感謝の声が届いているようです。
気象神社とは
気象神社は東京都杉並区高円寺「高円寺氷川神社」の境内にある神社です。
御祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)で、「晴」「曇」「雨」「雪」「雷」「風」「霜」「霧」の8つの気象条件を司ることができるとされています。
日本神話では、太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れて世の中が暗闇になったとき、岩戸を開けて天照大御神を外界に戻す知恵を考え出したのが、八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)です。再び世界に「太陽」を取り戻し、世の中を救うことに成功しました。
このことから「気象の神様」と祀られるようになったとも言われています。
そして、気象神社では「晴天祈願」を始めとする気象にまつわる各種ご祈祷を行っています。
「脱雨男」「脱雨女」などのご祈祷はありませんが、気象神社を参拝し、下駄絵馬を奉納したりお守りを大切に持っていた結果、雨男や雨女を脱したという感謝の声が届いているようです。
詳細は神社の公式サイトをご確認ください。
まとめ:大切な日に雨が降るのは珍しいことではない
日本は世界の中でも雨が多い国です。
先述したとおり、3~4日に1日は雨の割合となるため、楽しみにしていた日に雨が降るのも珍しいことではありません。
肝心なときに雨が降るのは残念ですが、そればかり記憶に残ってしまわないよう、気持ちを切り替えてみてはいかがでしょうか。