台風の渦の向きがどちら側に回っているか、すぐに答えられますか?
正解は「左回り」です。日本に来る台風はすべて、左向きに渦を巻いています。
では、なぜ日本の台風は左向きに渦を巻くのでしょうか?
ここでは、以下のことについて解説します。
- 台風が左向きに回る理由
- 北半球と南半球での違い
- 日本の台風は右側が被害が大きいというのは本当か?
豆知識として、活用してみて下さいね。
日本に来る台風の渦が左向きになる理由
日本に来る台風が左向きに渦巻くのには、実は力学的な理由が存在しているのです。
ここでは、台風が左向きに回る理由と、はたらいている力に関して解説していきます。
夏の時期、赤道付近の暖かく湿った海水から発生し、渦を巻き発達しながら高緯度から低緯度の地域に進む積乱雲群を「台風」と呼びます。
台風が渦巻き状になる理由は、地球に「コリオリの力」という慣性の力が働いているからです。
コリオリの力により、台風の中心に向かう風は、北半球だと少しずつ右側にずれます。
風は中心の一番気圧が低く、上昇気流が発生しているポイントへ吹き込む習性を持っています。
そのため、右側にずれた風は中心に戻ろうとし、左向きに弧を描くように曲がるのです。
結果として、低気圧を中心とした、左回りの渦状の風の動きが生み出されます。
渦となった風は、次々に積乱雲を生み出します。台風が渦巻き状に発達するのはそのためです。
日本は北半球にあるため、日本に来る台風は左回りに渦を巻くということですね。
コリオリの力とは?
地球の自転の速さが緯度によって違うことで生じる見かけ上の力のこと。北半球では右向きに、南半球では左向きに作用する。
台風の渦の向きは北半球と南半球で違う
北半球の台風の渦の向きは左回りです。では、はたらく力が逆になる南半球ではどうなるでしょうか?
ここでは、北半球と南半球の台風の渦の向きの違いについて、くわしく解説していきます。
境目である赤道で起こる事象についても解説しますので、ぜひご覧ください。
左向きなのは北半球だけ、南半球は右向き
先ほど説明した通り、コリオリの力は地球の北と南ではたらく方向が違います。
- 北半球では右向き
- 南半球では左向き
以下の図のように、かかる力が逆向きになると、渦の方向も逆になります。
よって、北半球の台風は左回り、南半球の台風は右回りに渦を巻くのです。
赤道では台風は発生しない
赤道直下はコリオリの力が発生せず、雲が渦を巻かないため、台風はほとんど発生しません。
台風の発生には海水温の上昇が関わってきますが、台風として発達するためにはコリオリの力がはたらくことが必須条件ということですね。
これが、台風が赤道直下では生まれない理由です。
なぜ台風の右側が被害が大きくなりやすいのか
日本では台風の右側の地域のほうが被害がより危険と言われています。
これは、日本の台風が左向きに回ることと大きく関係しているのです。
ここでは、なぜ台風の右側のほうが被害が大きくなりやすいのか、解説していきます。
台風の右側は、進行方向と同じ向きに風が吹く
台風自体が南から北に向かう風の力と、台風の右側は、風向きが同じ方向です。
よって、風の勢いが相乗効果で強くなり、威力が増します。
台風の左側は北から南への風向きです。
進行方向と逆向きの風が威力を打ち消しあうので、右側と比べるとやや勢力は弱まります。
台風の右側は左側より積乱雲が発生しやすい
台風が発生している夏から秋は、南からの風の温度と湿度が上昇しています。
夏の夕立や大雨の原因である「積乱雲」は、北からの冷たい風と南からの湿った暖かい風が対流することで発生しやすくなります。
そのため、中心部に向かって左回りに南からの風が吹き込む台風の右側では、次々に積乱雲が発生し、激しい雨を降らせることとなるのです。
まとめ
- 台風の渦の向きを決めてるのは、地球に働く「コリオリの力」によるもの
- 北半球と南半球ではたらく力の方向が違うため、日本に来る台風はすべて左向きに渦を巻いている
- 日本に来る台風は、右側の方が威力が強い傾向にある
- 台風の災害対策のためには、進路だけでなく、自分が住んでいる地域が台風の右側にあるのか左側にあるのかも気をつけるといい
台風の渦の向きに関して詳しくなることで、防災意識も高めることができます。
いざというときに安全な行動をとれるよう、知識として覚えておきましょう。