最近の戸建住宅はデザインも豊富になり、購入者の好みや希望が実現しやすくなってきました。しかしながら、思い通りに完成した住宅が「雨漏り」を引き起すこともあるのです。
雨漏りといったら「屋根」がいちばんに浮かびますね。
そこで、屋根の形状と特徴を見ていきましょう。
①切妻(きりづま)
②寄棟(よせむね)
③入母屋(いりもや)
④片流れ(かたながれ)
⑤方形(ほうぎょう)
⑥陸屋根(りくやね、ろくやね)
⑦その他の屋根の形状
○まとめ
①「切妻(きりづま)」
一般的な屋根でもっとも多くみられる「三角屋根」のことをいいます。
雨が流れやすい単純な形状は、シンプルで合理的、経済的にも有利な形状といわれています。
雨漏りしにくく、メンテナンスしやすいという理由で日本の屋根の半数近くをこの「切妻屋根」が占めています。
切妻のいう文字だけをみると純和風の建物を思い浮かべるでしょうが、実際にはモダンな洋風住宅や山間のログハウスなど、また街中の和洋折衷住宅にも似合う屋根なのです。
外壁のデザインや屋根の傾斜などを変えることで、それぞれの個性を生む事ができるのも特徴といえるでしょう。
②「寄棟(よせむね)」
この形状も一般的な形状といえますが、切妻が2方向に勾配があるのに対して「寄棟屋根」は4方向に勾配があるのが特徴です。
上空から見ると長方形で、平側は台形、妻側は三角形をしており、落ち着いた安定感とどっしりした重厚感が魅力になります。
和風・洋風・折衷のどちらにも使われる形状で、4方向に軒があることから風雨や陽射しから外壁を守りやすいので、住宅を長持ちさせるメリットがあげられます。
ただ、切妻よりも屋根裏スペースが取れないので、収納などに利用したい場合が十分な空間が取れないことがあります。
③「入母屋(いりもや)」
切妻と寄棟を結合したような屋根の形状で、社寺や和風住宅で採用されますが、現在では重厚で高級な住宅しか使われなくなっています。
雨仕舞は屋根の形状が複雑となるために不利ですが、小屋根裏の換気は開口部を大きく設置でき、屋根周辺全体の軒先により外壁の保護が保てます。
ただ、雨漏りなど点検修理が必要となった場合はコスト的に高額となってしまいます。
④「片流れ(かたながれ)」
最近の新築住宅で見かけることが多くなった形状で、片側一方向だけに傾斜のある屋根です。
シンプル・シャープ・モダン・おしゃれなイメージで人気が出ています。
また、太陽光発電パネルの設置にも適していること、流行りの平屋やワンフロアで効率よく無駄のない安心安全な暮しを望むシニア世代の住宅にも使われる屋根形状として選ばれることが多くなっています。
低コスト、工事期間の短縮、メンテナンスや修理費用の削減など経済的メリットがありますが、風雨の影響を受けやすく屋根や壁の劣化が早くなり雨漏りの発生リスクもあります。
⑤「方形(ほうぎょう)」
寄棟屋根の一種で、真上から見ると正方形をしており一つの頂点から四方へ同じ角度で流れている屋根の形状を「方形」といいます。ピラミッド型の屋根です。
四方均一に風雨を分散でき、正方形のバランスの取れた屋根形状から頑丈で風圧や地震に強い構造になります。
しかし、屋根裏の換気がしにくく、屋根の頂点は雨漏りがしやすいという欠点もあることから雨の多い地域には不向きな形状といえます。
⑥「陸屋根(りくやね、ろくやね)」
一般的な住宅では構造的理由から採用されることはほぼありませんが、店舗やビルなどに多く使われます。
傾斜のほとんどないフラットな形状の「陸屋根」は、雨水が溜まりやすいので雨漏りの原因になります。屋根に降った雨が排水溝にうまく流れない場合もあるため、施工時の防水対策、定期的なメンテナンスが重要になります。
⑦その他の屋根の形状
・「鋸屋根(のこぎりやね)」
工場の屋根といえばご理解いただけると思いますが、片流れ屋根を連続した鋸(のこぎり)の歯のような形状の屋根です。
広い面積に均等に明かりを取り入れたい工場などに使われています。
・「バタフライ」
切妻屋根の形状を逆にしたようなV字型形状で、ちょうど蝶々が羽を広げたように見えることからきています。
真ん中に向かって低くなっているため、真ん中に谷樋を設けた構造になっています。
屋根のくぼみに雪や雨水が溜まりやすく、流れにくくなるため屋根が傷みやすくなります。
雨漏りのリスクが高い形状なので、定期的な点検やメンテナンスが必要になります。
・「マンサード屋根」
「腰折れ屋根」とも呼ばれます。屋根上部は緩やかな勾配で下部にいくと急勾配になっている形状の屋根です。屋根裏が広く使えて北海道などでよく見かけます。
急勾配は雪や雨の流れを速くするメリットがある反面、勾配の変わる繋ぎ目部分で雨漏りを起こしやすい欠点もあります。
・「かまぼこ屋根」
「R(アール)屋根」とも呼ばれるかまぼこの形をした形状です。
体育館や大型商業施設などに多く見られます。
モダンなデザイン屋根ですが、屋根の頂上付近は傾斜が少ないので定期的な点検とメンテナンスが必要となります。
まとめ
いかがでしたか?
一口に屋根といってもたくさんの形状や特徴がありますね。
新しくお家を建てたいと考えている方もそうでない方も、屋根と雨漏りの関係やメンテナンスを考えるとよりよい暮らしやすさが見えてきそうですね。