建築する際、家のあらゆる部分に防水シートが使われています。雨の浸入から建物を守るためですが、この防水シートのことを「ルーフィング」といいます。聞きなれない言葉ですが、現在も職人さんなどは、防水シートと簡単に呼ぶことが多いと言います。
雨漏りを防ぐために無くてはならないルーフィングについて、その種類と特徴を見ていきましょう。
ルーフィングって何？
屋根材の下に敷く防水シートのことを、ルーフィング（ルーフィングシート）といいます。
ルーフィングを敷くことで、雨漏りを防いでくれるのですが、屋根葺き材、防水シートと呼ぶこともあります。
根葺き工事が終わると、そのあとはリフォームの時以外目にすることがありません。
見えない部分だからこそ、敷くときには注意が必要になります。一度敷いてしまうと劣化や破れに気付きにくいため、雨漏りなどの被害が出てから、問題になることが多くあります。
ルーフィングの役割
雨はわずかな隙間から屋根の下に浸入することがあります。雨水が屋根材まで侵入しても、屋内まで入らないようにするのが、ルーフィングの役割になります。
入り込んだ雨水の浸み込みを防ぎ、外に流すことで、建屋を守ってくれます。
屋根材とのセットで施工することで、防水効果が出ます。
ルーフィング下の野地板は、木材が一般的ですが、水を吸いやすく水に弱いので、ルーフィングは大事な役目を持っているのです。野地板が雨水を吸い込めば、腐食や劣化を呼び、カビやシロアリの発生原因になってしまいます。
そうならない為に、雨水を弾き野地板に吸わせないのが、ルーフィングの役目になります。
ルーフィングの種類とそのメリット・デメリット
住宅建築の主な防水資材として多く使用されているルーフィングが、アスファルト素材シートです。ルーフィングといえば、「アスファルトルーフィング」という、施工業者も多く、防水シートの代表になります。ルーフィングには、その他にもいくつもの種類があります。各シートの特徴とメリット・デメリットを紹介していきましょう。
【アスファルトルーフィング】
板紙にアスファルトを浸み込ませ、層を重ねて作られた防水シートです。耐用年数は10年ほどで、交換時期になります。
新築の場合、資材に指定が無ければ基本的に「アスファルトルーフィング940」を使用することが多く、あまりグレードが高いと言えません。アスファルト自体の融点が50℃と低いため、屋根のような夏場と冬場の気温差を受ける場所は、柔らかくなるのと硬くなるのを繰り返して、劣化が進みます。アスファルトを浸み込ませる時に「ポリマー」や「天然アスファルト」を加えた、高品質の「改質アスファルトルーフィング」が出ています。
「メリット」
・安価である
・止水性に優れている
「デメリット」
・劣化しやすい
・透湿性が低く野地板が結露しやすい
・耐久性に乏しいのでランニングコストは高くなる
【高分子系ルーフィング】
合成ゴムや合成樹脂を主原料にした成形シート、アスファルトルーフィングではないシートの総称で「高分子系ルーフィング」と呼ぶことがあります。住宅以外に、貯水池や用水路などの防水工事にも使われています。改修工事の際に、既存の防水層に被せて施工することが可能で、工事期間の短縮が可能となります。
「メリット」
・安価である
・軽量である
・伸縮性が高い
・施工性がよく、工事期間が短くてすむ
「デメリット」
・平面下地にしか施工できない（施工場所を選ぶ）
・紫外線により劣化しやすい
・接着剤の劣化により防水機能が落ちる
・シートが薄く飛来物で破れやすい
【透湿防水ルーフィング】
優れた透湿性をもち、防水性と透湿性を兼ね備えた万能ルーフィングです。その透湿性は、アスファルトルーフィングと比べて200倍以上と言われます。
「メリット」
・透湿性が高い
・耐久性が非常に高い
・施工性が高い
「デメリット」
・高価である
・透湿性能を保持するため施工に技術が必要である
【粘着層付きルーフィング】
シート裏面が粘着シートになっていて、直接貼り付け施工できるため、作業効率が高く、カバー工法で多く使われています。一度貼り付けた後でも、きれいに剥がせるタイプの製品もあります。
「メリット」
・穴を開けずに施工できるので防水性に優れている
・傷んだ屋根材の上にも重ねて施工できる
・施工性が高い
「デメリット」
・高価
・湿気を逃しにくい（非透湿性）
【不織布ルーフィング】
布で作られているルーフィングです。紙で作られた防水シートに比べ、耐久性に優れ、破れにくいので、長期間の防水性を保つことができます。
「メリット」
・耐久性があり破れにくい
・柔軟性が高い
「デメリット」
・紙ベースのものより高価である
まとめ
防水シートは知っていても、「ルーフィング」という呼び方も、いろいろな種類がある事も知りませんでしたね。日常、問題なく暮らしていると防水シートを気にすることもありませんが、雨漏りなどが起こって、家の劣化が気になってくると、補修工事や修繕しなければなりません。その時に、ルーフィングの特徴を知っていると、施工業者に尋ねることができます。費用、耐久性、適材であることなどを話合い、しっかりと工事してもらいたいですね。
