日本は世界の中でも雨が多く、年間の平均降水量は1718mmと、世界平均(880mm)の2倍にもなると言われています。
梅雨や秋雨前線、台風など時期によっては数日に渡り雨が降り続けることもたびたびあります。
気温が高い日などは特に「雨の日はジメジメして不快」と感じる人も多いですが、雨と湿度はどのように関係しているのでしょうか。
湿度の定義
そもそも、湿度はどのように定義されているのかを見てみましょう。
湿度とは
空気にどれだけの水蒸気が含まれているかを示す数値。普通、その温度で含むことができる水蒸気の最大量を100%とし、これに対し実際に含んでいる水蒸気の量の割合で表す
そして、湿度には相対湿度と絶対湿度があり、普段天気予報で目にする湿度は「相対湿度」のことを指しています。
相対湿度と絶対湿度
相対湿度とは、空気中に含まれる「水蒸気の割合」を表したものです。
上で定義している湿度もこちらを指しています。
空気中には、気温によって水蒸気を含むことができる量の限界(飽和水蒸気量)が決まっています。
湿度は限界量のうち何%の水蒸気を含んでいるかを示す数値です。
絶対湿度とは、縦横高さ1メートルの空間に含まれる水蒸気の重さが何グラムかを示しています。
つまり、絶対湿度は空気中に含まれる「水蒸気の自体の量」を表しています。
相対湿度は感覚的にかわりやすく一般的に使われていますが、絶対湿度には以下のような利点があります。
- 単一の物理単位なので国際的なものさしになる
- 比較的高精度・高価な計測器とされている
- 絶対値なので生産管理などに効果的
ポイント
相対湿度は「水蒸気の割合」を示し、絶対湿度は「水蒸気の量(重さ)」を示す数値
雨の日に見かける「湿度100%」はどういう状態?
私たちは実感として「晴れた日よりも雨の日の方が湿度が高い」ことを知っています。
これは、曇りや雨のときは空気中に含まれる水蒸気が多くなり湿度も上昇、また晴れた日は雲ができにくいため水蒸気の量が少なく湿度も下がるためです。
では、実際に湿度が100%になっていると、どのようなことが起こるのでしょうか。
一般的に言う湿度は「相対湿度」を指し、これは空気中に含まれる水蒸気の割合が100%になっている、つまりこれ以上空気中の水分が蒸発できないことを表します。
私たちの身近な例で言うと、雲の中は湿度が100%の状態です。
飽和水蒸気量を超えた水分は空気の中で状態を保てなくなり、ホコリなどに付着して「雲粒」になります。
そして次第に雲粒が大きくなると「雨粒」となり、重力によって地上に落ちてくるのが雨です。
また、霧の中も同じく湿度100%とされます。
ちなみに雲と霧の違いは、中にいるか(霧)、外から見ているか(雲)だけと言われています。
湿度が高いとこんなことに注意
雨が降るのは私たちが生きるうえでは必要なことですが、長期的に雨が降ったり、気温が高い日に雨が降ると湿気でジメジメします。
それが不快に感じたり、家や家具に影響を与えることも。
特に梅雨や夏の暑い時期の湿気では、以下のような項目に注意が必要です。
- 体力を消耗しやすい
- カビが発生しやすい
- 害虫が発生しやすい
高温多湿の状況は、熱を発散しづらいため少しの運動でも息が上がりやすくなったり、寝付きづらくなると言われています。
熱中症にもつながる可能性があるため、涼しい環境で過ごし、自身の体調を気にかける必要があります。
湿度が多いと、カビが発生しやすくなり、水回りや家具、食品までカビの影響が出てしまうことも。
さらには外壁内で起こる「内部結露」というものもあり、柱などにカビが発生して腐ってしまうということもあります。
カビと併せて注意したいのが害虫です。特に気密性の高いマンションなどではダニが発生する確率が高いと言われ、布団やソファーなど人が触れる場所に多く発生します。
また、古書などの紙に発生することの多い「紙魚(シミ)」も湿気が多い所を好み、バスルームやトイレ、畳の部屋さまざまな場所に発生するので注意が必要です。
今日からできる雨の日の湿気対策
ここでは、誰でも簡単にできる雨の日の湿気対策を紹介します。
部屋の湿気対策
- 部屋の空気循環
- 入浴後は換気扇を回す
- 家具の配置は風の通り道を意識
- 密閉空間には除湿剤を設置
窓を開けて換気するのも良いですが、雨の日はそれが難しい場合もあります。
そのときはサーキュレーターやエアコンの除湿機能を使い、部屋の空気を循環させましょう。
家の中でも湿気が高くなる場所がお風呂です。
特に入浴後は水蒸気が充満し鏡や窓ガラスにも結露が付いています。
入浴後に湯船のお湯を残しておく場合には必ずフタをし、扉もしっかりと閉めましょう。
換気機能のあるお風呂は常に換気扇を回し、窓がある場合には開けて空気の循環を良くしましょう。
これらの対策に加えて、市販の防カビ剤の使用もおすすめします。
部屋の中に家具が密集していたり、家具同士がぴったりとくっついていると空気の循環が悪くなります。
ソファやタンスは壁にくっつけるよりも、少し隙間を空けて空気の通り道をつくることでカビ予防につながります。
また、フローリングや畳などの床にマットレス・布団を直に置いている場合も、床と布団の間を空けるのが良いでしょう。
除湿マットやすのこなどを使うのがおすすめです。
クローゼットや納戸、押し入れなどの密閉空間は空気が循環しないため、多湿の時にはカビや害虫が発生しやすくなります。
そういう場所には除湿剤を設置して予防するのが良いでしょう。
除湿剤はドラッグストアで簡単に購入することもできますし、新聞紙やヒノキ、重曹など身の回りの物を使って手作りすることもできます。
まとめ:湿度が高い時期はカビ・害虫の対策を
雨の日は湿度が高く、不快に感じますが家や家具などへの対策も必要です。
カビは人間の体調にも変化を及ぼす危険があるため、特に梅雨や夏の時期は湿度に注意しながら過ごしてみてはいかがでしょうか。