家を売ろうと検討している場合、いくつか注意しなければならないことがあります。
まず、不動産会社を選ぶときには信頼できる会社を選ぶことや売却価格の周辺の相場などを知ることが大切ですが、それよりも前に物件の状態が良くない場合には、いくつか問題点があるため、売却について詳しく知った上で検討する必要があります。雨漏りした家は、カビやシロアリの発生の恐れがあるため、売却できないこともあります。
雨漏りした事実を明らかにせずに売却した場合は、違法となり責任を負う形となってしまいます。雨漏りなどの不具合があった家を売却するにはどうしたら良いのでしょうか。
雨漏りした家を売却する際、売主は買主に対して事実をきちんと伝えるという告知義務が発生します。
売却する前から雨漏りなどの不具合がある場合は、物件に物理的な不都合が存在するという物理的瑕疵に該当します。
物理的瑕疵(ぶつりてきかし)の瑕疵(かし)とは、傷を意味する言葉であり、瑕疵について売主自身が知っていて告知していなかった場合は、売却した後に契約不適合責任を問われる可能性があるため、売主は瑕疵を告知しなければなりません。2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)から契約不適合責任という名称に変わり、内容も改訂され、買主が売主に対して請求できる権利が増えています。
旧法では、買主が不具合に気付いてから1年以内に権利行使しなければならなかったのに対して、新法である契約不適合責任では、1年以内に不具合を伝えればよいとされています。
それは1年という期間制限にかかわらず責任を追及されるということになるため、以前よりも追求される可能性がある期間が長くなったということになります。
ですが、引渡しから10年以上経過してから気付いた不具合に関しては、買主は売主に対して責任を追及することはできなくなります。また、買主が不具合に気付いてから5年間何もしなければ、権利は消滅するという時効が設定されています。責任追及の焦点も変更になり、瑕疵が売買契約書に記入されているかどうかで決まります。
瑕疵のトラブルが起きるのを防ぐためにできることは何なのでしょうか。
雨漏りの瑕疵があった場合は、きちんと契約書に告知し、修繕費用にかかる分を値引きする方法または事前に修繕を行ってから売却する方法などがあります。
物件の引渡し後に瑕疵が発覚するリスクを抑えるために、インスペクション(住宅診断)を行い、専門家の客観的な診断を受けることをオススメいたします。買主側にとっても、インスペクション済みの物件であれば安心して購入できるという方は多いでしょう。万が一に備えて、瑕疵保険に加入しておくのも良いですが、加入には一定の基準があり、検査費用や保険料がかかる点は、念頭に置いておく必要があります。
雨漏りが起きたにもかかわらず、契約書に告知せずに家を売却してしまうと、契約不適合責任を追及されてしまい、買主から売買契約解除や損害賠償請求を受ける可能性があることを考えると、何かしらの不具合がある物件の場合は、きちんと契約書に記すということが大切です。
最も重要なのは、家の売買を行うにあたっては、万が一に備えて瑕疵担保責任と契約不適合責任について知識を取り入れておくことです。
不動産会社を選ぶ際にも不安にならずに済むように、売主側のことをきちんと考えてくれる会社を選ぶようにしましょう。
瑕疵物件を修繕して売却する場合
雨漏りなどの不具合を修繕してから売却するメリットとして、雨漏りのない一般の物件と同様の評価を受けられるため、買い手が見つかりやすく売れやすいといったことが挙げられます。
デメリットとしては、修繕費用がかかってしまう上に、絶対に売れるという保証はないため売る方法を考える必要があるということです。
解体やリノベーションをして売却する方法や、買取業者に買い取ってもらうという方法もあります。
ほかに、注意するべきなのは税金問題です。家や土地を売却するときには、3種類の税金がかかってきます。
印紙税・譲渡所得税・住民税の3種類です。
売買契約時にかかってくるのが印紙税であり、売却後に確定申告をすることで譲渡所得税がかかります。
確定申告によって、お住まいの市区町村により計算された住民税が課税されることになります。大問題になりかねないのが、税金がかかることを知らずに、売却の資金を生活費や新居の支払いなどに全て充てようと考えていた場合です。いざ税金の支払いができないということになると大変ですので、計画の見直しが必要となってきます。
不動産の売却では、売却により入った資金が全て残るわけではないということを念頭に置いて、売却前に予めどのくらいの税額になるのか税理士や税務署などに相談し、きちんとした税額を把握することで計画が立てやすくなるでしょう。