花にはたくさんの種類が存在しますが、その中で、雨に濡れると花びらが変化し透明になるサンカヨウという花をご存知でしょうか。
雨水や朝露によって透き通ったように見えるサンカヨウは、別名スケルトンフラワーと呼ばれています。
透き通ったように見える前は、白く可愛らしい花で、花言葉を調べると親愛というとても素敵な花です。
漢字で書くと山荷葉と書き、山に咲く蓮のような葉をもつ花という意味をもっており、 なぜならサンカヨウの葉の姿が蓮に似ているからという説があるようです。
葉の数は大きい葉と小さい葉の2枚であり、直径2cmほどの花びらは小さい葉の方につきます。
そんなサンカヨウは、世界でも珍しく、どこでも出会える花というわけではありません。日本や旧樺太であるサハリンで見られ、日本では、山岳地帯である北海や長野県の北部などで生息しており、寒く湿った場所に生息する多年草です。
なかなか出会うのは難しく、なぜならサンカヨウの開花期間はわずか1週間なので、花が咲いてる姿どころか、雨や露に濡れて透明になる姿を見れるのは奇跡に近いほどなのです。
見頃である開花期間は、5月〜7月頃のどこかの1週間です。場所の環境によって時期は様々ですので、貴重なサンカヨウを見に行かれる場合は、開花情報を頼りにしましょう。
透き通った状態に出会えるかは運もありますが、きっと不思議に感じることでしょう。
なぜ雨に濡れることで透明に変化するのかは、疑問に感じると思いますが、その理由となる有力な情報はあるものの、未だ解明されていません。
そもそも通常の状態で白く見えている花びらも、見えているだけで白ではないという見解もあります。花びらが白く見えるのは、光が散乱するためで、花びらの細胞同士の間と表面で光の乱反射が起こっていると見られています。
そこに雨水が浸透すると、光の乱反射が起こらなくなり、光が透過することで透けているように見えるのではないかということです。
しかし、雨が降ったからといってサンカヨウの花びらがすぐに透明に変化するわけではありません。
雨水や露が花びらに付着していても、花びらの内側まで水が浸透していなければ透明には見えず、白いままのサンカヨウに見えるのです。
水の浸透には時間がかかるのか、その時の状況によるかもしれませんが、透明のサンカヨウに出会うには、雨の日にしばらく観察する必要があるのかもしれません。
また、花が咲いてから散ってしまうまでの間、透明になりやすいのは咲き始めではなく、1週間の寿命のうちの後半にあたります。
花も終わりに近付き枯れかけになってくると、咲き始めよりも弱々しくなり水が浸透しやすい状態になります。そこに雨が降れば、あまり時間がかからずに透明になるのかもしれませんね。
サンカヨウは、花びらが散ったあとに濃い青紫色の実をつけます。白い粉でまとわれており、食べられる実のようです。
見た目も味もブルーベリーに似ており、熟せば甘く酸味があるようです。味わうことができるというのも、また興味深いサンカヨウです。
ロート製薬のハダラボ白潤という化粧水のCMをご覧になったことはあるでしょうか。
そこでサンカヨウが登場したのですが、肌の透明感とサンカヨウの透明さを掛けて、起用されたのだと思います。
雨水に濡れると透明になるサンカヨウは、知る人ぞ知る花の1つだったと思いますが、このCMにより多くの人に知られるきっかけとなったようです。
雨の日は避けたい登山ですが、このサンカヨウに出会うために、雨の日に登山をしている方々が多く存在するようです。
絶対に見られるわけではないからこそ、何度も挑戦するという楽しみがあるのかもしれないですね。
実際に、透明なサンカヨウを間近で見られた感動は一体どんなものなのか気になるものです。
実は、サンカヨウ以外にも濡れると透明になる花が存在するようです。
サンカヨウと同じように白く、花びらが枯れかけたときに濡れると透明になりやすい花には、ツマトリソウ・シロバナエンレイソウなどがあります。
知らないだけで、他にもスケルトンフラワーはいくつか存在しているのかもしれません。
ハッキリとは解明されていないこの現象は、考えようによってはもしかしたら雨の力かもしれませんし、不思議な現象を解明するために、サンカヨウや他のスケルトンフラワーに会いに行き観察をするというのも、人生の楽しみの1つとなって良いかもしれません。雨というと、空が暗くなる上に外へ出れば濡れる、住宅にとっては雨漏りの原因となるという、あまり良いイメージがない人も多いかと思いますが、雨によって神秘的な現象が見られる花があるという素敵な現象を起こす雨でもあることを知れば、雨の日のお出かけも今までとは違った気分になるのではないでしょうか。