老人ホームで雨漏りが発生してしまうと、入居者の方や従業員の方が不便な思いをするだけではなく、放置しておくとカビの発生により病気を引き起こしてしまうおそれがあります。
特にご高齢の方は免疫力も低下しているため、老人ホームでの雨漏りによる健康被害は必ず防ぎたいところですよね。
このコラムでは、老人ホームでの雨漏りの原因や現地調査、修理業者の選び方や修理方法、さらには修理費用の相場までわかりやすく紹介していきます。
雨漏りでお悩みの老人ホームのオーナー様や、建物管理の担当者様はぜひ最後までご一読ください。
こんな方におすすめ
- 雨漏りに困っている老人ホームの責任者の方
- 老人ホームなどの大きな施設を管理している方
- 老朽化した福祉施設の管理者の方
老人ホームで雨漏りする原因
まずは、老人ホームでよくある雨漏りの場所と事例を紹介します。
屋上防水の劣化
老人ホームのような大きな施設は、戸建住宅のような屋根ではなく屋上になっていることが多いため、屋上防水の劣化に注意する必要があります。
安全上の理由から屋上を立ち入り禁止にしている老人ホームもあり、その場合は劣化に気づきにくいため要注意です。
屋根は傾斜になっているため雨水が下に流れていきますが、屋上は傾斜を持たないためどうしても雨水が屋上に残りやすくなってしまいます。
屋上には雨水を逃がすドレン(排水口)が設置されています。しかし、ドレンの詰まりや施工不良によって雨水が逃げ場を失うと、劣化箇所から建物の中に水が入ってきてしまいます。
また、屋上の床に施された防水層の劣化にも注意が必要です。防水層の亀裂やめくれから水が入り込み、雨漏りにつながるケースも少なくありません。
ベランダからの吹き込み
ベランダも屋上と同じように傾斜が無いため、どうしても吹き込んできた雨水が溜まりやすくなってしまいます。
屋上と同じように、ベランダの床の防水層が劣化していると雨漏りが発生してしまいます。
他にも、笠木(手すりを腐食から保護するためのカバー)も雨水や紫外線によって劣化していくため、劣化を放置しておくと雨漏りの原因になります。
また、ベランダにつながる窓サッシや、隙間を塞ぐコーキングが劣化している場合も雨漏りリスクが高くなるので、要注意です。
外壁の劣化
老人ホームに限った話ではありませんが、雨漏りは屋上や屋根だけではなく外壁からも発生します。
外壁に発生した亀裂や、外壁材の浮き、サッシに施されたシーリングのひび割れからも雨水は入り込みます。
ごく小さな穴やひび割れでも、雨漏りの原因になってしまいます。
天井に比べて壁の雨漏りは雨染みが発生しにくく、気づきにくいため要注意です。
気づいた時には、すでに壁内部が大きく腐食しているかもしれません。
まだ雨漏りしていなくても、定期的に業者に外壁の点検をしてもらうのがおすすめです。
現地調査
老人ホームのような大きな施設は雨漏りの診断が難しいため、応急処置を行った後に必ず修理業者に調査と修理を依頼しましょう。
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1雨漏り状況の確認
まず工事業者がヒアリングを行い、雨漏りの箇所や状況、建物の構造について確認します。
建物の築年数や修理履歴、図面などがあるとスムーズに進みます。
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2現地調査・見積り作成
現地調査によって、雨漏りの原因を突き止め、必要な工事を提案します。
見積りを作成してもらい、必要な工事費を確認しましょう。
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3契約・施工
見積りの内容に同意したら、契約して施工します。
現地調査のさまざまな方法
目視調査
雨漏りの状態を実際に目で見て原因を調査する方法です。
老人ホームでの雨漏りは原因が複数箇所あったり、雨漏りの発生箇所が原因となる場所から離れていたりすることもあるので、業者であっても見極めるのが難しいと言われています。
そのため、雨漏り鑑定士などの資格や知識がある業者や、経験豊富なプロに調べてもらうのがおすすめです。
無料で調査を行ってくれるところが多く、調査時間も30分から2時間程度というケースが多くなっています。
散水調査
雨漏りが疑わしい箇所にホースなどで散水することにより、原因箇所を特定する方法です。
特定できるまで何通りもの方法で散水を行うため、半日~丸1日かかる場合もあります。
多くの場合、散水するための水の代金も依頼者の負担となります。
目視調査よりお金も時間もかかりますが、雨漏りの原因箇所をより詳しく特定することができます。
発光液調査
発光塗料を含んだ検査液を流し、発光を頼りに雨漏りの原因箇所を特定する方法です。
散水調査で雨漏りの経路が複数あることが判明した場合、追加で行う場合もあります。
特殊な検査液を使用するため費用も散水調査より高額になることが多いです。
赤外線調査
赤外線カメラを使って建材の温度差を観察し、雨漏りの状況を調査する方法です。
周囲の温度よりも雨漏りしている場所の方が冷たいので、赤外線カメラで壁や天井を撮影して温度を確認します。
壁や天井の内側を目視で確認できない場合に使用することがある方法です。
雨漏り修理業者の選び方
雨漏りの調査と修理は自分で行わずに、必ずプロの修理業者に依頼しましょう。
特に、老人ホームのような大きな建物はDIYで完全に修理することは不可能だと言えるでしょう。
その場では雨漏りをしのいでも、いつ再発するかわかりません。だからこそ、プロの修理業者にしっかりと雨漏りを直してもらうことが大切なのです。
しかし、雨漏りの修理業者といってもその数は多く、どこに頼むべきなのか迷いますよね。
複数の業者の見積もりを比較することにより、適切な金額がわかります。
その時に、各調査や修理に料金がいくらかかるのかも確認しておきましょう。
修理単価を明確にしておくことで、費用相場と比較しやすくなり、過剰な料金を取られることを防ぐことができます。
反対に「工事費用 一式」として細かい金額がわからない見積りには要注意です。
一括比較見積りサイトは短時間で複数の見積もりを取れて便利に思えますが、実は専門の知識を持たないWEB会社が運営している場合が多いので要注意です。
また知り合いに雨漏りの修理業者がいた場合、修理のお願いがしやすいと思いますが、修理後の不備があったときに相談しにくいのであまりおすすめはしません。
現地調査の時は、業者に気になることはすべて質問しておきましょう。
口での説明だけではイメージしにくいと思うので、わかりにくかったら図や写真で説明をお願いするのもおすすめです。
調査の時の質問の答えが曖昧で、マナーが悪い業者は避けておきましょう。
戸建住宅だけではなく、マンションやビルなど老人ホームと同じような規模の建物の修理経験がある業者だとさらに安心です。
老人ホームの雨漏り修理方法
雨漏りの修理方法は、雨漏りの原因箇所や建物の構造によって異なります。
下記に代表的な修理方法を紹介します。
屋上防水
屋上に施された防水層の劣化は、1度防水層を撤去し施工し直す必要があります。
防水層にも、防水性の塗料を塗布する「塗膜防水」やシートを張る「シート防水」などいくつか種類があり、予算や屋上の下地の状態に合わせて使用する防水層を選択します。
防水層の表面だけが劣化している場合は、トップコートのみを塗り替える場合もあります。
どの程度劣化していて、何の工事が必要なのか、状況に合った提案をしてくれる業者を選ぶと安心ですね。
またドレンが雨漏りの原因だと、ドレン内のゴミを取り除き、つまりを解消するだけで解決する場合もあります。
ドレンが劣化しているようであれば、コーキングなどによって補修が必要です。
ベランダ防水
防水層やドレンが原因の場合、屋上と同様に再施工や補修が必要です。
笠木が劣化していたら、コーキングなどによる補修、もしくは笠木自体を交換する場合もあります。
老人ホームの雨漏り修理の費用相場
雨漏り修理の費用相場は、原因箇所や規模、使用する材料によって変わってきます。
ここでは住宅ではなく老人ホームのような大きな建物の一般的な修理費用の相場を紹介します。
屋上の場合、防水層の再施工に価格費用の相場は100万円から200万円程度です。
足場設置が必要な場合はさらに追加でかかります。
ドレンのみだと8万円から20万円程度が相場になっています。
ベランダの場合、10万円から30万円程度が相場です。
外壁の場合、小さなひび割れの補修・修繕だと5万円から50万円程度が相場ですが、足場設置が必要な場合はさらに追加で費用がかかります。
まとめ:老人ホームの雨漏り修理は必ずプロに相談しよう!
雨漏りは、気づかないくらい小さな隙間からでも発生します。
さらに、雨漏りが発生している場所とは離れた場所が原因を作っているケースもあり、一般の方が原因特定をして適切な施工をするのは不可能に近いともいえるでしょう。
雨漏り修理業者を名乗っている業者のなかにも、十分な知識がなく、必要な工事ができない場合もあります。
雨漏り匠ナビでは、専門知識を持ったプロの業者が伺います。「どの業者に頼めばいいの?」とお困りのときは、お気軽にご相談ください。