建築資材は木材を中心としていますが、防水や仕上材、設備の分野で多くのプラスチックが使われています。現在では、プラスチック無しには、考えられないほど重要な存在となっています。
壁紙やクロスにもプラスチックが主流となっており、弾力と加工性の高さ、着色や印刷に適している特徴もあって、非常に多く使われています。
身の周りにもあふれている、プラスチックの建材における特徴と役割をみていきましょう。
プラスチックって何?
プラスチックはいわゆる石油製品であり、原油から生成される「ナフサ」を原料として作られています。石油化学産業は、日本の基幹産業でもあり、激しい競争の中で開発が進み、新素材が次々に登場しているのも、プラスチックの特徴です。
「可塑性」があるという意味のプラスチックは、力の掛け方により、変形し固定して形状を保つ性質を持っているので、粘土のように自由な形を作ることができるのです。
ゴムや松ヤニ、漆など植物の樹液から作られ、古くから活用されている天然樹脂に対して、同じような性質を持つプラスチックは、人工的に合成されているので「合成樹脂」と呼ばれています。
塗料やナイロンなどの繊維類は、通常プラスチックと呼びませんが、同じ合成高分子材料という点では同じです。
プラスチックの特徴と分類
プラスチックの便利な性格として、柔軟性や弾力性があります。
製造時に分子レベルで添加剤を加えることで、加熱すると軟化し(熱可塑性)、または硬化する(熱硬化性)という性質を与えることもできます。
ガラスに似た透明な物質を作れることも、合成樹脂の特徴です。
プラスチックの長所と短所
【長所】
① 塑性があり自由な形をつくれる
② 軽量であり強度がある
③ 耐薬品性がある
④ 着色が容易である
⑤ 電気絶縁性がある
⑥ 比較的安価に製造できる
【短所】
① 耐火性に劣る
② 燃焼によって有害ガスを発生するものがある
③ 温度変化による伸縮が比較的大きい
④ 表面硬度が低く傷つきやすい
⑤ 帯電しやすくホコリがつきやすい
⑥ 紫外線による劣化が起きる
熱可塑性をいかして大量生産
原材料を熱して液状化にし、金型に流し冷やして固めることで、自由な形の製品を大量に生産できます。電気のスイッチやコンセントカバー、エアコン室外機カバーやテープなどキリがありません。
金属に代わる性能
熱硬化性を持つ樹脂は、一度硬化すると再度加熱しても溶解せず、溶剤にも溶けません。
硬度や強度など機械的な性質に優れ、耐熱性、寸法精度も高いので、各機械分野や医療機器、配線部品や建材などで金属部品の代替品として利用されています。
建築資材としての活躍
建築資材としても利用されるようになり、建物の最も重要な機能である「防水」をプラスチック製品の性能が担っています。
高層ビルのガラスやサッシの継ぎ目のシーリングはその典型です。使用時には流動的で狭い場所にも充填できて、固まると長い期間において弾力を保つ、プラスチックの性質が活かされています。
また、電気や給排水衛生・空調など設備分野でも、プラスチックは欠かせません。水や温水など液体を運び、電気などのエネルギーのロスを減らし、快適さに大きく貢献しています。
プラスチックの絶縁性・断熱性・弾力性・高い加工性などの特性が、これらを可能にしているのです。
プラスチックの劣化
プラスチックは時間経過によって、弾力の低下・褪色・変色・硬化・体積のやせといった劣化が現れます。また、目には見えませんが、絶縁性能・断熱・保湿性能など重要な機能の低下にもつながっていきます。これらの劣化要因は、高分子の接合部にダメージを与え、繋いでいた手が切れる場所が増えるからと考えられています。
劣化の主な要因は、紫外線などの光・熱・オゾン・酸素などで、言い方を変えれば太陽と水と空気であり、生活環境そのものが高分子材料にとって劣化要因であると言えるのです。
物の接合部の部材は、動きを繰り返すことも劣化要因の1つとなり、金属疲労のような劣化もあります。
プラスチックの劣化は避けられない変化であり、阻止することは困難ですが、保護カバーや断熱層の設置により、劣化の進行を遅らせることはできるのです。
まとめ
建築資材分野でも、多くのプラスチック製品を見ることができますね。丈夫で安価、加工のしやすさ、カラフルでデザイン性にも優れていることから、備品などにも多く採用されています。しかし、劣化は避けられないことから、摩耗や割れ、亀裂などが起こった時にいかに対応して補修していくのかが問題になってきますね。
安価であることから、修理するよりも新しい部品に交換する方が主流となっています。
少し割れなどが、水漏れや浸水の原因となってしまいますから、いつでも交換できると油断するのではなく、早めの対応が必要となります。
身の周りにあふれるプラスチック製品の、使用後の廃棄にも目を向けていきたいですね。