毛細管現象は、学校などで行う理科の実験でおなじみのものでもありますが、どういった現象なのかと言うと、細い管状物体の内側の液体が、外部からエネルギーを与えられることなく管の中を移動する物理現象のことです。
細い管状物体というのが毛細管になります。液体が細い隙間を重力に関係なく広がり浸透していき、地球上での重力に逆らえるほど上昇や下降することもあり、主に静電気力が影響しています。
毛細管現象は、液体の表面張力と固体と液体の濡れやすさと毛細管の大きさが関係しています。水と水の分子同士がお互いに引き合って水が表面に出た時に、水面に働いてる力が表面張力です。水の中に引っ張られる力と表面に向かう力がつり合う位置で水は止まるので、管が細ければ細いほど上昇する高さは高くなるということです。
毛細管現象は、万年筆などの文房具といった身近なものだけでなく医療の現場にも用いられていたりと、この現象を利用した物は多くあります。ですが、毛細管現象は望まない所で起こることもあり、それが引き起こすものはいいものばかりではありません。
夏から秋にかけて、梅雨、台風、ゲリラ豪雨などが起こることで増える住宅のトラブルといえば雨漏りです。毛細管現象は、住宅などの屋根材で起こることがある為、非常に厄介な雨漏りの原因になることがあるのです。 その多くがスレート屋根です。
屋根材は、雨や風、直射日光などの影響により経年劣化は必ず起こります。それによってズレやひび割れ、破損などが生じてしまいます。雨が降ると水がたまり、毛細管現象により雨水が屋根材を通り家の中に浸入してしまいます。
意外と身近な現象で、原因不明の雨漏りが、実はこの毛細管現象が原因となっていることがあるのです。
通常、上から下に水は流れますが、この毛細管現象では下から上に水が上がっていく、通常では考えられない現象が見られます。
布やティッシュペーパーなどは、水につけると下から上に湿っていきますよね。これは繊維の中にある小さな隙間を水が上がってきているのです。布やティッシュペーパーのように、屋根材にも小さな隙間というのができると、毛細管現象による雨漏りを引き起こしてしまう原因となるのです。
水に濡れやすい性質をもっている物質は、この現象が起こりやすく、布で言うと綿や麻、絹などが毛細管現象が見えやすいです。
では屋根材の隙間を全てふさいでしまえばいいのではないか?と考えると思いますが、それは逆効果です。
雨水が中まで簡単に侵入してしまう隙間はダメですが、適度な隙間がないと雨水の逃げ道がなくなり、毛細管現象を引き起こしてしまいます。排出されずに中に溜まり続けてしまうことで、どんどん細かな隙間を通り侵入することで雨漏りが起こってしまうのです。
よく屋根の塗装をした後に、雨漏りが発生するようになったということがあります。
それは何故かというと、屋根の塗装に使われる塗料が隙間を埋めてしまい、それが原因で毛細管現象が発生し雨漏りしてしまうのです。
屋根を塗装したときには必ずおこなわなければならない縁切りという隙間を作る作業があります。これが適切に行なわれていなかったか、業者の経験値が少なかったか、これらは専門の業者に点検してもらうしかできないので、屋根の塗装をする際は信頼できる業者に依頼をしてください。
塗料以外に、屋根の汚れが隙間を埋めてしまうことにより、毛細管現象による雨漏りが発生することもあります。
屋根の汚れは、ホコリや苔などが蓄積することによって固まってしまい、隙間をふさいでしまいます。
それを防ぐには、定期的な点検とメンテナンスが大切だということです。
雨漏りが起きてしまうと、建物内にカビが生えて腐ってしまったりシロアリを呼び寄せてしまう原因にもなります。
ひどくなってからでは修繕費用も高額になりかねないので、そうならない為にも事前に信頼できる業者を見つけておくこと、雨漏りがあったり不具合がある場合は放置しないことです。
費用がかかるからとご自身で何とかしようと考える方は多いですが、屋根の上に上がることは大変危険を伴うため絶対にやめてください。
毛細管現象について話してきましたが、普段、毛細管現象という言葉を使うことも考えることも無い人がほとんどだと思いますが、身近には毛細管現象は意外とたくさんあります。
冬に見られる霜柱も、毛細管現象によって土の中の水分が上昇しながら作られたものです。空気中の水分が凍って出来るのではなく、土の中の水分が凍ってできています。
植物の中には道管という管があり、毛細管現象によって水が吸い上げられています。
ロウソクの炎は、炎によってとけたロウが毛細管現象によってロウソクの芯を上がって燃えています。
このように、毛細管現象はいたる所で起こっています。
毛細管現象が役に立つ時もあれば、厄介になる時もある雨漏りでは起こってほしくない現象ですね。