秋が過ぎて冬が訪れると、寒さが増して空気が一段とひんやりしてきますが、冬は1年の中でも晴れの日が多く、雨はほとんど降らないことが多いです。
東海地方の雪は、平地で降ることは少ないことが多いですが、山地では毎年比較的多く降り、長い間雪が積もっている状態が続きます。近年は、ラニーニャ現象により冬の寒さは厳しくなっており、山地ではより一層の積雪と平地でも雪が降る回数や積もることが増えています。
冬は、雨が少なく晴れる日が多いと言いましたが、そんな冬でも雨漏りが起こることがあります。その原因は、雨が少ないかわりに寒さが増した頃に降る雪です。雪でなぜ雨漏りが起こるのでしょうか。その理由を見ていきたいと思います。
雨漏りと聞くと、雨のイメージが強いと思いますが、雪も解ければ雪解け水へと変わりますので、雨漏りの原因となります。
また、雪は屋根に雪特有の損傷を与えることがあるため、降る量に関わらず雨漏りの原因になってしまうこともあるのです。
冬の寒い季節だからこそ起こってしまうのが、凍害です。雪の厄介な所は、雨であれば屋根に降ると雨樋へと流れ落ちますが、雪は降った場所にしばらく留まり流れていかないことです。屋根の材質や劣化の状態にもよりますが、少しずつ少しずつ雪の水分が屋根へと浸透していき、その水分が凍ってしまうと屋根が破損してしまう恐れもあり、その破損によって雨漏りへと繋がってしまうのです。なぜ凍ると破損するのか?と疑問に思った方もいらっしゃると思いますが、水は凍ると体積が増えるので、繰り返し水分が浸透し凍ってしまうと、どんどん膨張し屋根がダメージを受けてしまい、ひび割れや破損に繋がってしまうのです。凍害は、少しの雪だったら大丈夫ということはなく、雪の量に関係なく起こってしまうのです。
大雪となり積雪の量が増えると、雪の重さにより屋根がダメージを受ける可能性が出てきます。
雪を触ったときに、降ったばかりの雪はふわふわで柔らかいため重さも軽いのですが、降って時間が経過し固まると、一気に重さは増していきます。そこへさらに降り続けば、さらなる重さが加えられていくので、屋根が重みに耐えられなくなり破損する恐れがあるのです。
雪の多い地域にお住まいであれば、大雪に備えた屋根になっていることが多いですが、大雪になることが滅多にない地域では、雪に備えた屋根になっていない所も多く、特に陸屋根の家の場合は、雪が屋根から落ちることがないため、もしも雪国のような積雪があった場合は注意が必要となります。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、すがもりという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
すがもりとは、屋根に積もった雪の量が多い場合、徐々に溶けていく水が屋根に浸透していく現象のことを言います。雪が滅多に積もらない地域の方からすると、大雪が降る地域では想像を上回るほどの雪が積もりますが、外の気温がものすごく低いのに対して、室内は必要以上に暖かいことが多いです。暖かい空気は上昇し、屋根の内側からの熱により屋根に積もった雪は溶けていきます。すがもりは、雨漏りとは違い屋根に不具合がなくても起こりうることから、屋根の雪おろしをする必要がありますが、大変危険なため対策が必要となります。
雨とは違い、雪は屋根に留まる時間が長いので、すがもりが起きるほどの積雪量ではなくても、屋根に劣化や損傷があれば水が浸透していきやすく、雨漏りへと繋がってしまいます。
また、冬の雨漏りで起きやすいのは、カビによる被害です。雪で湿った屋根から浸透した水と室内の暖かさにより、屋根裏の湿度は高くカビが生えやすい環境が整っているため、カビの被害には注意が必要です。冬場は気温が低いため、1度湿った木材などがなかなか乾きにくく、湿った状態が長く続くと腐食してしまう恐れもあります。それを好むのがシロアリなので、早めにカビや腐食に気付く必要があります。天井や壁のシミなどの雨漏りを発見した場合や、部屋がカビ臭いなど、何か異変を感じた場合には早急に専門の業者に見てもらいましょう。
雨が少ない冬ですが、雨漏りが起こる原因は雨だけじゃないことがわかったと思います。
屋根のメンテナンスをきちんと行うこと、室内の暖かい温度が屋根に伝わらないよう天井断熱を利用することや、雪が落ちやすいように傾斜のある屋根にすることで、被害を未然に回避できる可能性は大きいです。被害が起きてからでは、補修費用も被害状況によっては高額になってしまうので、雨の多い季節だけではなく、年間を通して雨漏りの可能性を考えて家を建てるようにしましょう。
地球温暖化やラニーニャ現象により、今後どういった雪の影響が起こるのかわかりません。滅多に大雪が降らなかった地域でも、頻繁に大雪に見舞われる可能性もあるかもしれません。大切なお住まいを守るためにも、定期的なメンテナンスを心がけましょう。