住宅にとって雨漏りの危険性がある箇所は、屋根や外壁、ベランダやバルコニー、窓のサッシまわりなどいくつもありますが、目で見てわかりやすいのは、雨水によるシミが視界に入りやすい場所です。
なかなか目で確認するには難しい場所で起こってしまった雨漏りも含めて、放置や長い間気付かずに年月が経ってしまうと、住宅にとって恐ろしいことになるのですが、よく耳にするのはカビや腐食、シロアリの発生といったものではないでしょうか?
わかりやすく言うと、住宅に使用されている木材が雨水により湿った状態が続いてしまうと、木材が腐っていくわけです。これは菌が大きく関係しており、この菌を木材腐朽菌と言います。
この菌は、木材の組織を壊す菌、つまり腐朽するというのは腐らせるということです。
木材腐朽菌には、環境の違いや木の種類によって発生する菌が異なり、主に白色腐朽菌(はくしょくふきゅうきん)・褐色腐朽菌(かっしょくふきゅうきん)・軟腐朽菌(なんふきゅうきん)の3種類あります。
繁殖条件は、水分・温度・酸素・栄養分であり、高温多湿で酸素がある環境である上に、木材に含まれるリグニン・セルロース・ヘミセルロースを栄養分として繁殖していきます。
水に浸かった状態である木材や、酸素がない状態では生息ができないため、木材の腐朽は起こりません。
白色腐朽菌は、サクラやケヤキなどの広葉樹を好んで腐朽させていきます。
木材の組織であるリグニンを優先的に分解し、白色のセルロースとヘミセルロースを残すため、木材を白く変色させます。
このことから白色腐朽菌と呼ばれ、私たちの身近にある食用のシイタケやマイタケ、エノキダケやナメコなど、食用とされているキノコ類は白色腐朽菌に分類されるものが多いです。
一般的に存在する木材腐朽菌のうち、90%以上が白色腐朽菌であると言われていますが、直射日光に強く、寒暖差の激しいところでも生息できるものが多いという特徴が、白色腐朽菌を多く存在させています。
症状としては、豆粒くらいの大きさの穴が無数に開き、表面にほつれが生じます。
褐色腐朽菌は、スギやヒノキなどの針葉樹を好み、セルロースやヘミセルロースなどを分解して褐色のリグニンを残すことから、木材を褐色や黒色に変色させます。
このことから褐色腐朽菌と呼ばれ、スギやヒノキは住宅の建材として多く使用されているため、住宅にダメージをおよぼします。
褐色腐朽菌は、多湿で風通しや日当たりが悪いところで生息する特徴があり、住宅では床下などで多く見られます。症状としては、木材に亀裂が生じ触れるとボロボロに崩れます。
軟腐朽菌は、水分を多く含んだ木材、ほぼ100%かそれ以上の木材を好み、主にヘミセルロースを分解するが、セルロースやリグニンを分解するものもあります。
表面をスポンジのように軟化させるため軟腐朽菌と呼ばれ、アオカビなどの不完全菌の仲間です。分解力は弱く、軟化したあとの木材は焦げたような色に変化し、その後、水分がなくなり乾燥すると、ひび割れが起こり内部が腐朽します。
住宅に雨漏りが起こった場合、早めにメンテナンスを行うことで被害は防げますが、気付くのが遅れた場合に驚く症状として多いのは、キノコが生えることです。
まさか家にキノコが生えるなんて誰も想像しないと思いますが、雨漏りでこんなキノコが育ったというフォトコンテストが実際行われているほどなのです。
お風呂場やトイレ、窓枠などの水回りや雨漏りが起きやすい場所に生えていることがあり、このフォトコンテストを覗いてみると大変驚く映像がいくつもあります。
ご自宅にこんなキノコが生えていたら、それは大変な合図ですので、すぐに専門の業者に見てもらうようにしてください。ご興味ある方は覗いてみてくださいね。
木造住宅でなければ大丈夫なのかというとそうではなく、建物の構造にもよりますが、戸建てに限らずアパートやマンションでも木材は使用されているため、木材腐朽菌による被害が全くないとは言いきれません。
木材腐朽菌が繁殖する条件が1つでも欠ければ、生殖することは不可能ですが、酸素を失くすことは不可能ですし、木材にとっての成分も必要であるため、木材を湿らさないようにすることこそが木材腐朽菌を防ぐ1番の方法なのです。
防腐剤による処理を行うことで、木材腐朽菌の繁殖を防止できますが、それでも湿った状態が続けば効能は薄れてしまいます。
雨漏りに限らず、水漏れや結露など、住宅には湿気を及ぼす影響となるものが多々あります。
しかも目に見えるところに限らず、目でなかなか確認することができない床下や外壁と内壁の間など、もしかするとすでに不具合が起きてる可能性もあります。住宅にとって大切なのは、定期的な点検とメンテナンスなので、気になる不具合がある場合や、築年数が経過している場合は専門の業者へまずは相談してみましょう。