ニュースなどで聞く「この台風は温帯低気圧となりました」はどのような意味なのでしょうか。さらっと聞き流している方も多いと思います。
天気の用語は聞いたことがあるけれども、意味はよくわからないというものも多いですよね。
- 温帯低気圧になると安心なの?
- 温帯低気圧になると天気はどうなるの?
そのような疑問にわかりやすくお答えしていきます。
台風後の天気の変化が不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。
温帯低気圧とは何か
温帯低気圧になると雨が降る原因となります。その理由について、お伝えしていきますね。
まず、温帯低気圧というのは、中緯度で発生する現象になります。南側から暖気、北側から寒気が来ると、暖気の方が相対的に軽い空気のため、暖気が上に行き、寒気が下に潜るような形となります。
暖気が上に行くことで、その場所の地表に近い部分では空気が薄くなり低気圧となります。これが温帯低気圧です。
暖かい空気が上に行くことで、空気の中に含まれる水蒸気が上空で冷やされ、水滴となり、雨が降ってきます。
この温帯低気圧でも、場所によって雨の降り方が違います。
暖気と寒気の位置関係から、「温暖前線」、「寒冷前線」という定義があります。
「温暖前線」は暖気が寒気の上を登っていくところで、「寒冷前線」は寒気が暖気の下を潜っていくところになります。
温暖前線とは
「温暖前線」では暖気がなだらかに移動するため、乱層雲ができやすい傾向にあります。
乱層雲とは空全体が暗い灰色となる一般的に雨雲と呼ばれる雲です。穏やかな雨が長時間降り続け、気温が高くなる傾向にあります。
寒冷前線とは
「寒冷前線」では低気圧の中心に勢いよく寒気が流れていくため雲が同じ場所に集まりやすくなります。
そのため積乱雲が発生しやすくなります。積乱雲が生じると強い雨が短時間で降り、気温が低くなる傾向にあります。
温帯低気圧と台風の違い
台風というのは、熱帯低気圧のことで、中心付近の最大風速が秒速17.2m以上となります。
熱帯低気圧というのは亜熱帯地方もしくは熱帯地方でしか発生しません。海面温度が26.5度以上ないと発生しないと言われています。
そのため、台風は必ず日本の南の海で発生し、北上してきます。
熱帯地方では、太陽によって温められることで大規模な上昇気流が発生することがあります。この上昇気流の発生に伴い、低気圧になったものが熱帯低気圧です。
海面から発生した水蒸気が上昇気流に運ばれ水滴になる際にエネルギー(潜熱)が生じ、これがさらに上昇気流を強めることになります。
このように海上を移動することにより、水蒸気を取り込み、エネルギーが発生し続けることで、台風が発達していきます。
反対に、台風が上陸したり、寒気を取り込むと台風は衰えていくようになります。
つまり、台風が温帯低気圧に変わるという事は、台風が北に進むにつれて、寒気を取り込むようになったという意味になりますね。
そこで皆さんが一度は考えたことがあると思われる疑問も解決します。
「この台風は温帯低気圧となりました」というニュースを聞いて、もしかしたら温帯低気圧になってもまた台風に変わることがあるのではないか、と心配になった事はないでしょうか。
結論をいうと、温帯低気圧になったら、台風に戻ることはありません。
台風は熱帯地方での海面の温度上昇に伴う上昇気流によって発生します。
台風が北上していく過程で、温帯低気圧になった後、台風(=熱帯低気圧)になる事はありません。
温帯低気圧のときに注意した方がいいこと
台風が温帯低気圧に変わっても、被害を及ぼす勢力である場合があります。台風は無くなったからもう安心だと勘違いしないようにしましょう。
台風も温帯低気圧も、低気圧であることには変わりません。大雨、強風などの荒天が続く場合があります。
一般的に台風よりも勢力は弱まりますが、稀に「爆弾低気圧」という台風と変わらない程度の強風を伴うこともあります。
爆弾低気圧とは、簡単に著しく急速に発達した温帯低気圧のことです。
甚大な被害をもたらすこともあるため、台風が去った後も油断しないほうがよいでしょう。
低気圧による荒天対策
爆弾低気圧が接近しているときには、荒天が続くことが予想されます。
基本的には、台風時の対策と同じと考えてよいですが、改めて確認していきましょう。
- 雨戸・シャッターを閉める
- 窓を養生テープ・段ボールなどで補強する
- 家の外にある自転車・プランターなどをしまう
- カーポートの屋根を外す
- ペットを屋内に避難させる
必ず、温帯低気圧も過ぎ去り、勢力が完全に弱まった後に元に戻しましょう。
まとめ:台風が温帯低気圧に変わっても雨・風には引き続き注意!
台風(熱帯低気圧)と温帯低気圧の違いが明確になりましたか?
大気の乱れが自然に生じてこのような現象をもたらすのはとても興味深いですが、とても危険な現象でもあります。
ここでの知識が少しでも身の安全を守るために役立てると幸いです。