天気予報でよく耳にする「降水量」。この言葉から、雨の降る量や強さをイメージする人は多いですが「降雨量」という言葉もあります。
降雨量も字の通り雨を降る量を表しますが、降水量とどのような違いがあるのか見ていきましょう。
降雨量と降水量の違い
「降雨量」と「降水量」の違いは、計測に含まれる水量の種類です。
降雨量は「雨」が降った量を表しますが、降水量は「雨」だけでなく「雪」や「あられ」「ひょう」なども含み、これらをすべて水に換算した量を指します。
どちらも「mm(ミリメートル)」の単位が使われ、その場所にたまった場合の水の深さを表しています。
また、降水量には降雪量も含まれることから、雨が少なくても雪が多い地域では降水量が増加。
降雪量はある一定の時間(1時間、6時間、24時間など)の間に新たに積もった雪の量、積雪量は自然の状態でのその瞬間の雪の深さを指し、この2つの言葉の意味も異なります。
雪などは溶かして水の状態に戻したものを降水量として測定しています。
水分の量なのに「mm(ミリメートル)」と表す理由
水分の多さを表す降水量ですが、なぜ「mL(ミリリットル)」ではなく「mm(ミリメートル)」と長さの単位なのでしょうか。
例えば、タライと洗面器、マグカップなどを並べて雨が降っている場所に置いておくと、面積の大きいタライに一番多くの雨が溜まることになります。
しかし、溜まっている水の深さを見てみると、どれも同じです。
実際に容器に溜まった水の量(=体積)は「底面積×水の深さ」となりますが、水の深さは真っすぐな筒状の容器であれば計測する容器の大小に関わらず原理的に等しくなります。
つまり、降水量は「単位面積あたりに降る水の量」と考えるとわかりやすくなるでしょう。
降水量の計測方法については後述します。
降水量からわかる、雨の強さと降り方の目安、暮らしへの影響
気象庁では、雨の強さと降り方を5段階に区別し、人への影響や屋外の様子にどのような変化があるかをわかりやすく表しています。
レベルは「やや強い雨」、「強い雨」、「激しい雨」、「非常に激しい雨」、「猛烈な雨」があります。
※この表は左右にスライドをして見る事ができます。
1時間雨量(mm) | 予報用語 | 人の受けるイメージ | 人への影響 | 屋内 (木造住宅を想定) |
屋外の様子 | 車に乗っていて |
10以上~20未満 | やや強い雨 | ザーザーと降る | 地面からの跳ね返りで足元がぬれる | 雨の音で話し声が良く聞き取れない | 地面一面に水たまりができる | |
20以上~30未満 | 強い雨 | どしゃ降り | 傘をさしていてもぬれる | 寝ている人の半数くらいが雨に気がつく | ワイパーを速くしても見づらい | |
30以上~50未満 | 激しい雨 | バケツをひっくり返したように降る | 道路が川のようになる | >高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象) | ||
50以上~80未満 | 非常に激しい雨 | 滝のように降る(ゴーゴーと降り続く) | 傘は全く役に立たなくなる | 水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる | 車の運転は危険 | |
80以上~ | 猛烈な雨 | 息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる |
出典:気象庁
降水量の測り方
気象庁によると、降水量は「転倒ます型雨量計」を用いて計測されています。
口径20cmの「受水器」に入った雨水(または雪)を「濾水器(ろすいき)」で受け、転倒ますに注ぎます。
転倒ますは2つの「ます」がシーソーのようになっており、降水量0.5ミリに相当する雨水が「ます」に溜まると反対方向に転倒して水を下に排出。このように、ますが転倒する回数を計測することで「降水量」を算出できるのです。
降水量には雨だけでなく雪やみぞれ、あられ、ひょうが含まれますが、これらが溶けない場合はヒーターで暖めて水の状態に戻し、その量を計測します。
家で簡単に降水量を測る方法
降水量は特別な機械がなくても計測することができます。
筒状の容器(開口部から底面までの面積が同じ容器)を用意し、一定の時間(10分、60分、3時間など)に溜まった雨水をものさしで測れば降水量がわかります。
通販サイトでも「雨量計」で検索すれば購入できるほか、神戸地方気象台や徳島地方気象台ではペットボトルで作成できる雨量計を紹介しています。
大雨・豪雨は降水量何ミリから?
大雨とは特定の時間内に多量の雨が降ることを言い、災害につながる可能性があります。
「大雨は〇〇ミリ以上の雨」という明確な定義はありませんが、大雨注意報基準以上の雨が降ると大雨と呼ばれます。
この大雨注意報や大雨警報の基準は各地によって異なるため、一概に〇〇ミリ以上とは決められません。
また、豪雨とは「著しい災害が発生した顕著な大雨現象」とされています。
近年では平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、平成29年7月九州北部豪雨など甚大な被害を出したことで記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。
気象庁では、大雨によって災害が発生する恐れがあると予想されたときに、警報を発表します。
危険度は高い順に大雨特別警報、大雨警報、大雨注意報となります。
まとめ:天気予報で日常的に降水量をチェックしてみよう
「降水量」と「降雨量」はどちらも雨の量を表したものと考えられがちですが、正確な言葉の定義は異なります。
天気予報では一般的に「降水量」を発表することが多いですが、「降雨量」は記録的豪雨などで雨の予報を強調したいときなどに使われることもあります。
近年では大雨・豪雨による災害も多く発生しているため、降水量と雨の強さの関係についても把握しておくとよいでしょう。