台風は一年を通して世界中で発生していますが、日本の南海に発生する台風は夏から秋にかけて最も多くなります。
主に7月~10月に集中していますが、なぜこの時期なのでしょうか。
また、台風の進路は日本を縦断するようなルートが多いのでしょうか。
夏と秋では発生する台風の特徴にも違いがあります。
今回は台風が発生しやすい時期とその背景、また夏と秋の台風の違いについて紹介します。
台風ができるしくみとは?
台風は日本の南の熱帯地方の海で最も多く発生します。
これは、海水の温度が高く水蒸気を多く含む空気が集まり、雲ができやすく、台風が渦を巻く力もあるためです。
台風は海上にできた上昇気流から雲が作られ、積乱雲に発達。
雲になる過程で水蒸気から水粒に変わるとき、多くの熱を放出します。
その熱が周りの空気をあたため、上昇気流がさらに強くなります。
このサイクルが繰り返されることで小さな渦が大きな渦となり、熱帯低気圧が発生。
さらに熱帯低気圧が発達すると台風となるのです。
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夏から秋にかけて台風が集中する理由
台風は海水の温度が高いほど発生する確率も高くなります。
そのため、一年の中でも最も暑い夏に集中して発生します。
秋は涼しくなるため台風の発生も減ると思われがちですが、気温は下がっても海水の温度はなかなか冷えません。
そのため、夏だけでなく海水の温度に熱が残っている秋にも台風は多く発生します。
台風が日本に上陸しやすい理由
秋に発生する台風が日本を縦断するようなルートを取る理由には、太平洋高気圧が関係しています。
夏から秋の時期は、太平洋高気圧が勢力を強め、ちょうど気圧の縁のあたりに日本列島がある位置関係となります。
渦状の強い気流である台風は気圧の縁に沿って北上する性質を持っているため、ちょうど日本の上空が台風の通り道になりやすいのです。
そして、台風は発生する時期によって特徴も異なります。
「夏台風」「秋台風」と呼ばれていますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
夏台風と秋台風の違い
7月から10月にかけて発生しやすくなる台風は、夏と秋で進路や速度など特徴が異なります。
夏台風の特徴
夏台風の大きな特徴は以下の通りです。
- 動きが遅い
- 不規則で複雑な進路をとる
夏台風の最大の特徴は「動きが遅い」ことです。
夏は太平洋高気圧が張り出し日本列島を覆いバリアのようになっています。
そうなると偏西風が北に押し上げられて台風はわずかな気流に流されるだけとなるため、動きが遅くなります。
また、偏西風や同時期に発生した台風の影響を受けて、なかなか北上しなかったり突然南下するなど不規則な動きとなるのです。
秋台風の特徴
一方で、秋台風には以下の特徴があります。
- 動きが速い
- 風が強く、雨量が多い
秋は秋雨前線の影響で雨が降りやすいですが、台風が接近すると前線の活動が強まり、より強い大雨になる可能性があります。
通常、台風は日本の上空を通る際には海水温度が低下するため勢力も弱まります。
しかし夏の暑さが厳しかった場合、海水温度もなかなか低下しないため台風の勢力も強くなりやすいのです。
また、秋は偏西風が日本の上空に南下するため、台風が偏西風に乗って急に速度を上げて日本列島へ向かってくることがあります。
こうしたことから、秋の台風は移動速度に伴い強風となりやすく前線の影響で雨量も増えやすいとされています。
まとめ:台風のメカニズムを知り、事前にしっかり備えておこう
日本の南側の海上で発生する台風は、北上するに伴い勢力が弱まります。
しかし、沖縄・九州地方は勢力が強い台風が接近または上陸する可能性が特に高いため、事前に備えておくことが重要です。
秋の台風は日本列島を縦断するようなルートを取ることも多いことから、地域に限らず台風の進路に注意する必要があります。
台風に伴う大雨、洪水、暴風、高波、高潮などにより、大きな被害となることも少なくありません。
庭の荷物を家にしまう、窓や網戸を補強する、側溝や排水溝を掃除しておく、雨漏りをしていないか確認する、など家庭でできる対策もあります。
またいつでも避難できるよう非常用袋の準備やハザードマップの確認、避難場所への経路の把握などもしておきましょう。