近年、10月の前半は季節外れの暑さの日が続き、後半になると一気に寒さが加速するということが多くなりましたが、あまり秋を感じずに冬へと季節が移行しているようにも感じます。
これには、ラニーニャ現象が関係しているものと思われます。天気のニュースなどで耳にすることが多くなったとは思いますが、よくご存知ない方も多いのではないでしょうか。
ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけた南米ペルー沖の海面水温が平年より低い状態が長期間続く現象をいいます。
逆に、同じ海域で赤道方面から暖かい海水が流れ込むことがあり、海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象のことをエルニーニョ現象といいます。それぞれ数年おきに発生し、日本を含めた世界中の色んな所で異常気象の要因となる可能性があると考えられています。発生した際には、世界各国で強い警戒が示されるほどの現象です。
この2つの現象は、日本の天候に大きな影響を及ぼします。
ラニーニャ現象が起こると、日本の夏は気温が高くなり猛暑となる傾向にあり、冬は西高東低の冬型の気圧配置が強まることで、気温が低くなり寒冬となる傾向にあります。
エルニーニョ現象が起こると、夏は気温が低くなり、西日本の日本海側は降水量が多くなり、冷夏になる傾向にあります。冬は冬型の気圧配置が弱まることで、気温が高くなり暖冬となる傾向にあります。
これらの現象により、日本の気候は大きく左右されているのです。
2つの現象の語源がありますが、エルニーニョ現象から説明しますと、エルニーニョ(El Niño)とは、スペイン語で男の子を意味しています。
この男の子というのは、一般の男の子のことではなく幼子イエス・キリストを指してる言葉として使われていました。ペルー北部では、漁民が小さな暖流のことをエルニーニョと呼んでいたことから、ペルー沖で数年に一度起こる海水温の高くなる現象に使われるようになったのです。
ラニーニャ(La Niña)とは、スペイン語で女の子を意味しており、エルニーニョ現象とは反対に海水温の低くなる現象をアンチエルニーニョと呼んでいましたが、エルニーニョが入るとイエス・キリストを意味していることにもなるので、男の子の対である女の子の意味であるラニーニャが定着していきました。
過去に、ラニーニャ現象が発生した冬では、一時的に強い寒気が流れ込むことで気温が低下し、厳しい寒さや大雪をもたらしています。
ですが、寒冬とまではなっていませんが、記録的な大雪が降ったりしたことで、大規模な交通障害などが起こっています。
気象庁によると、2022年の秋の気温は全国的に高温傾向となる予報が出ています。9月は残暑が厳しい時期もあり、10月に入ってもまだ日中は暑くなる日もあるでしょう。10月は運動会などの学校行事も多くあるので、熱中症に対して油断は禁物です。
昨年の秋から続いているラニーニャ現象は、いつまで続くのでしょうか。日本では、寒さには慣れていても雪にはあまり慣れていない地域の方も多いです。雪が降ることはあっても、積もるのは数年に1度くらいの地域ですと、雪に対しての対策もあまり行われていないため、車の事故や住宅での不具合があった際に、大変なことになる可能性があります。梅雨や台風に対しては対策をとるのに、雪に対しては無警戒というお宅も多いのではないでしょうか。降水量は平年並みという予報であっても、雨と雪を合算して出した予報なので、降水量の中の雪の量が多い可能性もあるのです。
住宅の雨漏りというと、雨を一番に警戒すると思いますが、雨に限らず雪も雨漏りの原因になります。雪は雨と違い、屋根の上に積もるとかなりの重量となり、屋根が壊れたり傷んでしまう大きな原因にもなるのです。雪が積もっている時間が長いほど、重みにより屋根には大きな負担がかかりますが、積もっていた雪が屋根から落ちたり雪解けが起きたあとに、雪によりダメージを受けたことに初めて気付く場合もあるのが屋根の変形です。変形が起こるということは、柱や梁に不具合が起きている場合があり、修理となると大きな工事となってしまいます。屋根に積もった雪を早く取り除くために、今は屋根上に設置できるヒーターなどがあるので、雪が多い地域では設置するメリットが大変多いでしょう。ですが、雪が積もることが少ない地域では、なかなかそこまでの工事を考えるお宅は少ないと思います。やってはいけないことは、突然の大雪が降った場合に、ご自身で屋根に上がり雪を除雪することです。大変危険ですので絶対にやめましょう。
地球温暖化と聞くと、気温が上がる夏の猛暑をイメージすると思いますが、気温の上昇により雪が降る回数は減るものの、一度に一気に降るドカ雪が増えるのです。ラニーニャ現象も加われば、厳しい寒さに加え余計に大雪が降る可能性が増えるので注意が必要です。