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冬将軍という言葉を聞いたことはありますか?

2022年は、12月の半ば頃から本格的な冬の寒さが訪れ、日本海側では大雪に見舞われました。

太平洋側でも、厚手の防寒着なしでは外にいられないほどの厳しい寒さとなり、一気に電気代が高騰したお宅も多かったのではないでしょうか。そんな冬の訪れの頃、ほとんどの方が毎日なにげなく見ている天気予報の中で、冬将軍という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。知らず知らずのうちに聞き流してるかもしれない冬将軍という言葉について、詳しく見ていきたいと思います。

冬将軍とは、冬になると北西の方からやってくる寒波である厳しい寒さを擬人化したものです。

語源は、将軍とつくことから日本かと思いきや、海外の英語でGeneral Winterと言われたことからきています。General Frostと言われることもあり、この場合は日本語に訳すと冬将軍ではなく、霜将軍という意味となります。日本のまわりの4つの気団のうち、日本の四季に多大なる影響を及ぼし、寒い冬を運んでくるのがシベリア気団です。冬将軍とはこのシベリア気団のことを表しており、気圧配置でいうと西の高気圧にあたります。西側が高気圧、東側が低気圧となるときを西高東低と言いますが、このときシベリア気団が運んでくる寒気により、日本海側では大雪が降り、一気に日本の冬が始まります。

では、なぜ冬将軍と呼ばれるようになったのでしょうか。

遡ること19世紀、フランス皇帝となっていたナポレオンが、1812年ロシアへ侵攻を開始し、この年の4月にフランス軍を率いて遠征を始めます。ロシアに比べて兵力が勝っていたフランス軍は、9月にロシア軍を撃破しモスクワを占領しますが、ロシアの戦略によってモスクワの滞在が長引いたフランス軍に悲劇が襲います。生きる上で必要な食料や寝床などを確保できず、そこへさらなる悲劇である冬の寒さが襲ってきたのです。撤退をしようにも、シベリア気団による厳しい寒さはフランス軍を容赦なく襲い、戦う相手は飢えと寒さとなり、多くの犠牲者が出ました。ナポレオン率いるフランス軍は、ロシア軍には負けなかったものの冬の寒さには負けたとして、このとき最強だったナポレオン軍を破ったロシアの冬を冬将軍と呼ぶようになったのです。
シベリア気団による厳しい寒さは、このときのナポレオン軍のみならず、1941年から1945年のドイツのヒトラーによるソ連侵攻や、1708年のスウェーデンのカール12世によるロシア侵攻も撃退させたと言われており、冬将軍と呼ばれる前から、人間にとってシベリア気団は恐ろしい寒さだったということです。

冬将軍は、10月中旬頃から2月上旬頃に到来し、本格的な冬季となります。

日本に冬を知らせる木枯らし一号が吹くのも10月中旬から11月頃です。日本から見て北西に位置するシベリア気団が、本格的に到来する冬の気圧配置は西高東低と言いましたが、なぜ西高東低の気圧配置だと日本は寒くなるのでしょうか。
それは、空気の性質が大きく関係しています。空気は気圧の高いところから低いところに流れる性質をもっているため、シベリアの冷たい空気が低気圧に向かって流れる途中に位置する日本は、寒さに襲われるというわけです。シベリアの冬は、日本の冬とは比べ物にならないくらいの寒さであり、気温はマイナス40℃まで下がることもある極寒の地です。その寒さの空気が流れ込み、日本海を通過する際に水蒸気を多く蓄え、積乱雲を発生させるため、日本海側では多くの積雪が見られるのです。反対に太平洋側では、雪を降らせたあとの乾燥した風が吹くため、天候が良い日が多くなります。ですが、空気が乾燥しているため火災などが起きやすく、火の元には注意が必要な冬となります。

2022年から2023年にかけての日本の冬は、まさに冬将軍が12月中旬頃から日本を襲い、日本海側は大雪に見舞われ、クリスマスの大寒波や年末も厳しい寒さとなりました。

太平洋側でも年に数回はドカ雪と呼ばれる大雪に見舞われることがあります。積雪を想定していない地域では、屋根の形状や住宅の建材などの劣化により、思わぬ被害が及ぶこともあるため注意が必要となります。雪は見た目とは違い、想像以上に重く屋根への負担はものすごく大きなものとなります。雪は降った直後よりも、時間が経てば重みが増すため、屋根や雨樋の破損や建材の劣化している部分からの雨漏りなどが起こる可能性が高くなります。劣化はなくとも、雪は、多く積もると溶けるまで時間がかかることもあり、雪解け水がじわじわと屋根や建材に染み込んでしまう毛細管現象が起こることもあります。冬将軍は、どんな雪の被害を運んでくるのかわかりません。この冬、また来年の冬将軍に備えて、住宅の定期的な点検やメンテナンスをきちんと行い、安心して冬を迎えられるようにしましょう。

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