台風の目というと、皆さんはどんな形を想像しますか?
だいたいの方が丸い形を想像するのではないでしょうか。
台風は、どんどん勢力を増しながら発達していくと、台風の目が中心にでき始めます。
その形は丸い形のみかと思いきや、五角形や六角形と変形し定まってないのです。条件により目の大きさは異なりますが、目の直径はだいたい数十kmほどで、直径20〜200kmの大きさの幅があります。直径が200kmと聞くと、そんなに巨大な目の台風は、勢力がもの凄いのではないかと思ってしまいますが、熱帯低気圧が弱まっていくことで目の形が崩れていき、200kmもの目になった台風なのです。台風が来る時に、目の大きさや形を気にするより、風速など別の所に注目することが多いと思いますが、目の形をよく見ると多角形になっていることがあり、強く発達した台風こそ多角形の目が見られることが多いのです。気象衛星にはっきりとした目が映るようになるのは、中心に向かって強い風が吹き込み、遠心力によって目のまわりにはアイウォールと呼ばれる積乱雲が形成されるときです。このときが最も台風の勢力が強いときであり、勢力が弱まっていくにつれて目の形はだんだん崩れていきます。
そして台風が温帯低気圧へと変化すると、目はなくなります。
注意しなければならないのは、台風の目の大きさが小さいからといって弱い台風ではないということです。目が小さく形が綺麗に見える場合は、大きな目よりも気圧の変化が大きく、猛烈な風が吹き荒れる恐れがあり、油断大敵な台風となるのです。大きい目の場合は、気圧の変化は緩やかですが、強風を伴い多くの雲を蓄えながら近づいてくるため、大雨や豪雨などの災害の危険性が増し、目からの抜け出る切り替わりのときも注意が必要です。台風の通り道にお住まいである場合、台風が近づく前に対策することを心がけ、むやみに外出しないようにすることが大切です。
実は、台風の目には目がない台風もあります。勢力が弱い台風の場合、遠心力の力も弱くなるため目ができないことがあります。
この場合の台風は弱く危険度も少ないですが、これでわかるのが、目がある台風は強風であり危険であるということです。
もの凄い勢力を持って強く発達した台風やハリケーンなどの場合、台風の目の中に渦が見られます。この渦のことを専門用語でメソ渦と呼びますが、このメソ渦によって多角形の目に見えることがわかっています。渦の数によって丸い目ではなく多角形に変形する台風の目は、危険度を示す現れですので、気象衛星で確認ができた場合は、注意が必要となります。
台風の目の中に入った場合どうなるのでしょうか。
台風が接近してくると、荒れた天気になり、そのあと急にピタッと雨風がやんだ経験はないでしょうか?目の大きさや形によって、台風の威力に違いがあることはわかりましたが、いずれの台風にせよ、台風の目の中では風が弱まり雲もなくなることがほとんどです。とても威力の強い台風であっても、先程までの大荒れの天気が嘘のような天候になることから、たいした台風ではないと油断しがちです。時間の経過と共に、目の周辺へと移動すれば再び大荒れの天気となることが予想されるため、穏やかな天候だからといって外出するのはとても危険です。台風が直接上陸することが多い地域にお住まいの方は、この状態を目の当たりにすることが多いでしょう。
余談ですが、台風の目の文字について、多く広まっている漢字は目の方ですが、気象庁が定めている漢字は眼であり、本来の用語としては台風の眼となるのでしょうが、どちらが正しいというのは無いようです。広辞苑では台風の眼となっていますが、新聞やテレビなどでは台風の目の方が多く使用されています。
ちなみに台風の目の語源は何なのでしょうか。台風の中心付近にあることから目と呼ぶようになったのでしょうが、そもそもなぜ台風と呼ぶのか遡ってみると、日本では、江戸時代に颶風と訳されたとされています。これは中国から来ているものですが、その語源はtufan(アラビア語)やtyphoon(英語)の音訳であるとするもの、または台湾地方を襲う暴風のことを意味するのではないかというもの、様々な説があり明確にはなっていないようです。現在の台風という漢字になったのは、1946年の当用漢字の制定以降になったようです。
台風の目の形が丸いだけではなく、多角形のものもあるということがわかりました。
今後、台風が襲来する際に気象衛星を見る機会がありましたら、形や大きさに注目して見てみると、台風の強さの違いなどが事前にわかるかもしれません。台風は、突然の突風や大雨など、予期せぬ被害をもたらすことがあります。被害が大きければ身動きがとれないことも予測されるため、避難経路をきちんと把握し、事前の対策など怠らないようにしましょう。