テレビで台風が近づいてくるニュースを聞くと、誰もが不安な気持ちになるものです。特に東海地方は台風が接近しやすい地域でもあるので、台風が多く発生する季節はなおさら心配で悩ましい気分になりますね。
ですが、日頃から台風に備えて準備をしておけば、台風の被害を最小限に抑え、慌てずに過ごすことができます。
そこで今回は、日頃から台風に備えるために役立つ方法と、いざ台風が近づいた時、落ち着いて行動するための対処法をご紹介していきます。
台風上陸に備えてやっておくべきこと
避難時の持ち物をチェック
まずは日頃から避難袋の中身を確認しておきましょう。
水や保存食の量は十分か、また消費期限が切れていないか見てみましょう。服は、今のシーズンに合う服が入っているでしょうか。
小さなお子さんがいる家庭は、紙おむつや服のサイズが小さくなっていないかも確認してください。お子さんが避難所でぐずらないよう、おやつやお絵かきセットなどの遊び道具もあると安心です。
携帯電話の充電機、マスクや常備薬なども用意してください。また、自宅から避難場所へのルートを、日頃から家族全員で確認しておきましょう。
自宅の点検とメンテナンス
台風が直撃した際の損傷を最小限に抑える為、自宅の状態を一度確認しましょう。
屋根や外壁、窓ガラスを確認して、もしもヒビが入っていればすぐに修繕してもらうか、板などで補強することが大切です。
台風の時に、雨漏りしたり、屋根が吹き飛んでしまったりするおそれがあります。不具合があれば、必ず直しておきましょう。
また、自宅付近の側溝を普段から掃除しておくことも重要です。
落ち葉やゴミなどでつまりがあると、雨水が道に溢れて冠水の原因にもなりかねません。排水をよくするためにも、定期的に掃除しておきましょう。
台風が近づいたときの対処法
ここからは、実際に台風が接近している時の対処法をご紹介します。
まず、玄関先やベランダを見て、風で吹き飛ばされそうなものがあれば室内に入れてください。植木鉢、洗濯竿、可能ならば自転車も家の中にしまっておくと安心です。
「これくらい大丈夫」と思っているようなものでも、吹き飛ばされて誰かの家屋や車を傷つける可能性があり危険です。
逆に、近所から物が飛んできて窓ガラスが割れる危険もあります。雨戸やシャッターは閉めておきましょう。雨戸がない場合は、窓に段ボールや養生テープを貼って補強するのも有効です。
自宅が浸水する可能性がある場合は、なるべく高い所に物を移動させてください。一軒家の方は、1階に置いている家具や食料、布団などを2階へ移動させます。
また、強い風で電線が切れ、突然停電することもあります。携帯電話の充電を済ませておき、手に取りやすい場所に懐中電灯を用意しておいてください。
断水するおそれもあるので、台風が強まる前に料理を作っておく、早めにお風呂を沸かして入浴を済ませておくと安心です。
そして、自宅に被害が及びそうな場合は早めに避難しましょう。
特に、高齢者やお子さんのいる家庭では、避難するのに時間がかかります。
車で避難するのは、冠水や渋滞に巻き込まれるおそれがあるので、徒歩で避難所まで移動しましょう。
長靴は水が入ってくると重くて歩きにくいため、履き慣れたスニーカーがおすすめです。
台風接近中に近づいてはいけない場所
川や自分の畑がどのような状態になっているか気になって様子を見に行き、水害に巻き込まれる方が毎年いらっしゃいます。
台風が近づいている時は、外出を控えてください。
特に、用水路、川、がけの近くは非常に危険です。
用水路や川は雨によって増水し、水が溢れて飲み込まれる危険性があります。雨が小康状態でも、上流で大雨が降ると急激に増水する危険があります。水位が下がるまでは、川には近づかないようにしてください。
特に、川の合流地点ではバックウォーター現象の危険が高まります。バックウォーターとは、川の合流地点で、本流の水位が高くなり、行き場をなくした支流の水が溢れてしまう現象です。
東海地方にも木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川を始め、多くの河川があるので、近くにお住まいの方は早めの避難を心がけましょう。
また、雨で地面が緩み、突然がけ崩れが起きる可能性があります。崩れ始めると一気に崩落が進むので、がけの近くに住んでいる方は、早めに避難しておくことも大切です。
命の危険があるので、川などの様子が気になっても、近づくことは絶対にしないでくださいね。
東海の過去の台風被害
最後に、過去に東海地方で甚大な被害を巻き起こした台風を3つご紹介します。
1959年 伊勢湾台風
紀伊半島に上陸した台風15号により、明治以降の台風で最大の被害を巻き起こしました。東海3県の被害家屋は354,427戸、死者行方不明者は4,645人にのぼります。
これほどの被害が拡大した原因は、観測史上最大の3.55㎡の高潮が伊勢湾に発生したこと、それによって堤防が決壊したことです。
また、当時の名古屋港には貯木場に大量の木材が保管されていたことも被害を広げることとなりました。この台風を教訓に高潮対策などの防災意識が高まり、今なお、伊勢湾台風の歴史は東海地方を中心に語り継がれています。
2013年 台風18号
9月16日に愛知県豊橋市付近に上陸し、三重県では竜巻が発生するなど大きな被害を巻き起こしました。また、愛知県常滑市のセントレアでは風速26.3メートルが記録されました。
全国では、死者6名、負傷者143名、住宅の全壊は48棟もの被害が出ました。
2018年 台風24号
マリアナ諸島近海で発生し、9月30日に和歌山県に上陸すると猛烈な雨と風が起こり、三重県尾鷲市では過去最高の潮位145cmを記録するほどの高潮が起きました。全国的には、死者は1名、負傷者は195名、住宅の全壊は14棟という被害が出ました。
このように、東海地方では昔から台風による被害が多く発生しています。大切な命や家屋を守るためにも、日頃から台風への備えをしておくことが大切です。ぜひ、ご家族でも台風が発生した場合の避難方法を話し合い、家屋の状態や避難袋の中身を確認してみてくださいね。