雨が降ると家にいる時間が長くなりますが、のんびりしたいときに限って「雨音が気になる…」なんてことはありませんか?
雨が強いほど音も大きくなり、なかには眠れないほどになることも。
雨音の対策は使われている材質や家の箇所によって異なりますが、この記事ではそれぞれについて対策を紹介します。
屋根の雨音の原因と対策
雨粒が一番多くあたる屋根の雨音は、材質や雨漏り、雨どいの不具合などさまざまな原因が考えられます。
それぞれの原因と対策について一つずつ見ていきましょう。
屋根の材質
雨が屋根にぶつかる音の響き方は、屋根の材質によって変わってきます。
音は素材が薄く軽い方がより響きます。
特に金属屋根は薄く延ばした合金を屋根材としているため、日本瓦やスレートと比較すると雨音が響きます。
屋根の材質ごとにどのような雨音の違いがあるのでしょうか。
- トタン板
- ガルバリウム鋼板
- ステンレス鋼板
- 粘土瓦
- スレート
「トタン屋根」として有名なトタン板は、遮音性が低く音を通しやすい性質を持ちます。さらに、薄くて軽量、さらに剛性もあるため雨があたると振動し、音がよく響きます。
近年ではガルバリウム鋼板の登場により、トタン板が屋根材として使われることは減っています。
アルミニウム55%、ケイ素1.6%、亜鉛43.4%の溶融メッキを施した鋼板です。トタン板に比べて高耐久、比較的安価なため普及が進んでいます。施工の際には断熱性・防水性を向上するために下地の上に施工する屋根構造が一般的になっているため、トタンで用いられていた屋根構造よりも遮音性能が改善されていることも特徴です。
鉄にクロム、またはクロムとニッケルを融合させた合金版です。錆びにくく、耐用年数がかなり長い特徴がありますが、費用はガルバリウム鋼板の倍近くとなり高価。
ガルバリウム鋼板よりも耐久性が高いものの、単価が高い、熟練の加工技術が必要などの理由から普及率はあまり高くありません。
粘土瓦は、粘土(岩石が風化してできた粘性のある土)を瓦の形状に圧縮成形し900~1,200℃程度の高温度で焼成した屋根の仕上げ材です。
金属やスレートと比べて非常に重く、遮音性に優れています。製法によりさまざまな種類があります。
スレートは、粘板岩を薄く板状に切り出したものです。天然石を使用したものと人工的に生産されたもの(化粧スレート)がありますが、現在ではセメントに繊維材料を混合した無石綿スレートやセメント系スレートが主流となっています。
化粧スレートは比較的厚みがあり(5~6mm)、施工時に素材を重ね合わせるため遮音性能が高く、新築戸建住宅で最も普及している屋根葺き材です。
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屋根の雨音の対策方法
雨音が響きやすい屋根の材質の場合、粘土瓦などの遮音性に優れた材質に取り換えるのが一番効果的です。しかし、粘土瓦の重さに耐えられる構造設計になっているか、確認や調査が必要となってくるため大掛かりになってしまいます。
そのような場合には、以下の対策も雨音の軽減につながる可能性があるので検討してみてはいかがでしょうか。
- 屋根裏に断熱材を入れる
- 制振材(防振材)の裏打ちをする
- 塗装で防音効果を高める
- カバー工法で屋根を葺き替える
断熱材は建物の断熱性を高めるために用いられる素材ですが、音を吸収したり衝撃を低減させたりする効果もあります。既に断熱材が使われている場合でも、新たに入れなおすことで雨音を低減させられる可能性もあります。
金属屋根やひさしの部分に振動を吸収緩和する制振材を裏打ちするのも効果が期待できます。金属屋根は薄くて軽く、剛性もあるため雨粒があたると振動しやすい性質があります。
制振材を裏打ちすることで、金属の振動を抑えて伝播するのを防ぐことにつながります。
屋根に防音効果のある塗装を施す方法です。
最近では、塗膜表面を大量のセラミックで覆うなどして表面積を増やし、音を反射させることで内部へ侵入・振動が伝わるのを防ぐ機能のある防音塗装も開発されています。
カバー工法(重ね葺き)は、既存の屋根の上に防水シートと新しい屋根材をかぶせる工法です。
屋根が二重構造になり遮音性能が高まるため、雨音対策にも有効とされています。古い屋根を撤去する必要がなく、費用の節約や工期の短縮化といったメリットもあります。
また、やけに屋根にあたる雨音が大きいと感じるときは、雨漏りが原因となっている可能性もあります。
雨漏りは放っておくとカビや腐敗、シロアリの繁殖など大きなトラブルに発展します。
天井から水が落ちてこなくても雨漏りをしている場合があるため、心配になったら専門家に相談するのが良いでしょう。
ベランダの雨音対策
ベランダに屋根がない場合は、ベランダの床にあたる雨音を抑制する必要があります。
早くて効果的な方法は人工芝や樹脂のデッキ材、玉砂利またはバルコニー用の軽い石を敷くのが良いでしょう。
ベランダの屋根の雨音が気になる場合は、防音シートを取り付けるなどの対応が考えられます。
出窓、サッシ、室外機の雨音対策
出窓の屋根部分に雨粒があたり、その音が気になるという人も多くいます。
その場合は、出窓の屋根にゴムクッションシートを貼り付けるのがおすすめです。
また、雨音防止シートや遮音シートを貼り付けることで効果を実感できたという人も見られました。
こうした雨音防止シートや遮音シートは、サッシや室外機の雨音対策にも有効です。人工芝を置くのも効果があり、無機質さがなくなり、ナチュラルな見た目にもなります。
カーポートの雨音対策
カーポートは気温の変化によって音鳴りをすることがありますが、雨音に関しては比較的小さい方とされています。
カーポートの屋根の素材の主流はポリカーボネートという素材で、耐久性に優れています。
しかし、熱せられると膨張したり、冷えると収縮したりする性質があるため、気温の変化に応じて「パチパチ」「ピキッ」などの音が聞こえることがあります。
カーポートの雨音を軽減したい場合は、屋根の傾斜をつけることで雨音の減少につながることもありますが、効果の大きさについては一概には言えません。
まずは専門家に相談してみるのが良いでしょう。
屋根の素材をアルミ材などの別の素材に変えるのも一つの方法です。
カーポートの音鳴りについては、自然現象によるため残念ながら解決できる方法はありません。
どうしても気になる方は、屋根の素材を変えるなどの対応が必要となる場合もあります。
カーポートに使われる屋根の主な素材
- 塩化ビニールの波板
- アクリルの平板
- ポリカーボネート板
- 熱線遮断ポリカーボネート板
- 熱線遮断FRP板
カーポートではこれまで塩化ビニール製の波板が多く使われてきました。しかし、経年劣化で割れてしまうことがあり、最近ではあまり使われなくなっています。
こちらも塩化ビニールの波板と同じように経年劣化が激しいためあまり使われなくなっています。
見た目はアクリルの平板とほとんど同じですが、ポリカーボネート板は弾力性があり熱に強く強度も高いことが特徴です。色や形が豊富にあり加工がしやすく、劣化もしづらいことからカーポートの屋根素材の主流として多く使われています。
ポリカーボネート板に熱線遮断を施すことで、屋根の下の温度上昇を防ぎます。暑い時期は車内の温度も上がりづらくなるメリットもあります。
FRP板は、ガラス繊維などの繊維と組み合わせることで強度を高くした繊維強化プラスチックの総称で、熱線遮断FRPはこれに熱線遮断加工を施したものです。防火性に優れ、ポリカーボネートと比べて熱伸縮しにくく、屋根からのパチパチ音鳴りを抑えられます。
うるさい雨音の原因は樋(とい)が詰まっている可能性も
雨音がやけにうるさいと感じる場合、樋(とい)に異変があったり損傷している可能性があります。
樋に落ち葉や草、小石などが詰まっていたり、樋が壊れているためにあふれた雨水が直接地面に落ちて大きな音を出している事も考えられます。
これまではそんなことなかったのに、急に雨音の大きさが気になるようになったという方は樋を確認してみましょう。
また、日ごろから樋に詰まりや破損がないか確認し、定期的にメンテナンスを行うことも重要です。