雨水を集めて、水やりやトイレの流し水などに利用したいと考えたことはありませんか。
東日本大震災など災害発生時には断水が続き、雨水利用が見直されました。
いざというときのためにも、また環境保護の観点からも、日頃から雨水を貯めて利用するのがオススメです。
しかしただ貯めておくだけでは、ボウフラや藻が繁殖してしまいます。
この記事では雨水の集め方や貯め方、賢い利用方法などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
実は難しい雨水集め
バケツなどに、雨水を集めた経験はありませんか。
実践したことのある人はご存じかと思いますが、よほどの豪雨でない限り、溜まる雨水の量はさほど多くありません。
例えば天気予報で「1時間に30mm」と表現していたとします。1時間に30mmという降水量は傘をさしていても濡れるほどの土砂降りですが、そんな雨でも1時間に3cmほどしか雨水は溜まりません。
雨水を貯めるには、集め方が重要なのです。
雨水の集め方
雨水を効率よく集めるためには、できるだけ広い面積から集約しなければなりません。つまりじょうごの要領で、広い範囲から雨水を集めて1点に集水させます。
屋根に降った雨水を雨どいで集めて、貯水タンクに集める方法が一般的です。
一戸建てであれば比較的簡単に集めることができますが、マンションや屋外の畑などでは、集水ネット(日よけシェードのようなもの)で雨水を集めます。
タンクの容量によって、狭い面積からの集水でも十分な場合や、逆にもっと広範囲から効率よく集めなければならないことも。設置するタンクの容量によって集め方も変わります。
タンク容量の目安
バケツ1杯の水の量は一般的に10リットル前後、トイレの大を1回流すと8リットルほどの水が必要です。
雨水をどんなことに利用するかによって、必要な貯水タンクの大きさは変わってきます。
タンクの容量の目安は次の通りです。
100リットル程度 | あまり頻繁に利用しない人向け |
200リットル程度 | 家庭用で一番需要が高いサイズ |
500リットル程度 | 雨水をいろいろな場面で利用したいと考えている人向け |
1,000リットル以上 | トイレ利用など本格的に雨水を利用しようと考えている人向け |
雨は毎日降るわけではありません。100リットル程度のタンクの場合、バケツ10杯ほど利用するとタンクは空になります。
毎日利用するなら大容量のタンクが必要になりますが、その分の広い設置場所も必要です。
家庭用でよく選ばれているのが、容量200リットル程度のタンク。このサイズであればそれほど広い設置場所も必要ありません。
トイレの洗浄水も雨水で賄おうと思うと、1,000リットル以上の大きなタンクが必要となります。タンクの設置場所もかなりの面積が必要です。地下に埋設することもできますが、設置費用は高額になります。
雨水の貯め方
雨水を貯めるだけならポリバケツやポリタンクなどでもできますが、蚊の幼虫であるボウフラや藻が発生してしまいます。
雨水を貯めるには、ボウフラや藻が発生しない(しにくい)ようにすることが重要です。
密閉と遮光性がポイント
ボウフラや藻が発生しにくくするために、次の2点に気を付けましょう。
- 蚊の侵入を防ぐ
- 光を通さない
「雨水タンク」として販売されているものは、比較的この2つを考慮したものが多いですが、安価なものや自作したものの場合は特に注意が必要です。
蚊の侵入を防ぐ
蚊は流れのない水に卵を産みつけます。ほんの少しの水でも繁殖することができるので、バケツなどにたまった雨水は蚊にとって絶好の産卵場所です。
ボウフラが発生しないように、蚊の侵入を防ぐタンクを用意しなければなりません。
タンク自体は密閉されていても、雨水の流入口やオーバーフロー(満水時の排水口)から蚊が侵入することもあります。
この2箇所から蚊が侵入しないように、網などがついていることを必ず確認してください。
またボウフラは銅を嫌います。銅板などを水面近くに浮かせておくことで、万が一蚊が侵入してしまっても、ボウフラが孵化できません。
光を通さない
藻の繁殖には光が必要です。つまり藻を繁殖させないために光を遮断すればいいのです。
一般的なポリタンクなどでは光を通してしまいますので、もし遮光性のないタンクを使用する際は遮光シートなどで光を遮るようにしましょう。
定期的なお掃除も必要
密閉性や遮光性に優れた雨水タンクの場合、設置環境にもよりますが、メンテナンスはそれほど必要ありません。
しかし砂や埃などのフィルターをもすり抜けるほどの小さなゴミは、タンクに侵入し底に溜まります。
人によっては数年放置しておいても、中の水はほとんど汚れていなかったという人もいますが、逆に気が付いたらゴミがたくさん浮いていた、ボウフラや藻が発生してしまったという人もいますので、やはり定期的にメンテナンスすることが大切です。
一般的なタンクの下部には排水口ドレンがあります。この排水口ドレンを開け内部の水を一気に抜きます。必要であれば流水で内部を洗いましょう。
目安としては半年~1年に1回程度のメンテナンスを心がけてください。
雨水の利用法
雨水を集めたら、どのように利用しますか。ここからは雨水の利用法をいくつか紹介します。
植物への水やり
雨水利用で最も多いのが、植物への水やりです。雨水は塩素を含まないので、水道水よりも植物にとって良い影響を与えます。
打ち水
近年、暑さ対策として「打ち水」が注目されていますが、この打ち水にも雨水利用はぴったりです。
打ち水は気温が上がっていない朝や、これから下がり始める夕方にします。熱い地面に打ち水をするとスグに蒸発し、逆に不快指数が高くなるのでやめましょう。
エアコンの室外機を冷ますために、室外機に雨水をかけるのもオススメです。
洗車
洗車の際には雨水をぜひ利用してください。
実は水道水にはミネラルが多く含まれているため、蒸発すると白い跡「水シミ」が残ってしまいます。
雨水は乾いても跡が残りません。
ただし黄砂などを含んでいると水シミになってしまうので注意してください。
洗車で雨水タンクの水を使用する場合、ホースを直接雨水タンクにつないでも勢いがありません。
ホースから勢いよく水を出したい場合は、電動ポンプなどを併用する必要があります。
トイレの水
トイレの洗浄水は「大」利用の平均で、1回あたり8リットル程度です。
トイレの水を雨水で賄えればかなりの節水につながりますが、そのためには大容量のタンクが必要となります。
災害の備蓄
地震などの災害時にライフラインがストップしてしまったときに、雨水は大きな役割を担ってくれます。
トイレに利用したり、濾過をして手洗いなどに利用したりもできます。
そのまま飲用することはできませんが、雨水を飲用水として浄化できる濾過器も市販されていますので、万が一のために用意しておくとよいでしょう。
補助金の対象となることも
雨水タンクは容量だけでなく、価格にも幅があります。安価なものは耐久性や遮光性が低いこともありますので、容量・耐久性・遮光性・密閉性・フィルターの有無などをしっかり確認してください。
実は市町村によっては、雨水タンク設置費用の補助が受けられる場合があります。自治体によっては全額補助がおりるところもあるようです。一度ご自分の住んでいる自治体のホームページをぜひ確認してみてください。
雨水を集めるにはちょっとしたコツが必要です。また集めた雨水は適切に貯めておかないと、ボウフラや藻が発生してしまいます。
この記事を参考に、上手に雨水を貯めて賢く利用してくださいね。