雨漏りといえば屋根からと思いがちですが、ベランダやバルコニーなどから雨が浸み込んでいることがあります。また、雨漏りの原因が笠木にあることも以外に多いのです。
建物から外部に張りだして取りつけているのが、ベランダやバルコニーですが、その手すり壁に上向きに設置してあるのが「笠木」です。
「笠木」はもっとも雨風や紫外線の影響を受け、劣化しやすく、雨漏りの原因にもなりやすいのです。
今回は、「笠木」が雨漏りを引き起す原因、放置した場合のリスク、メンテナンス方法を紹介していきます。
「笠木」って何? 目的と役割
「笠木」は、ベランダやバルコニーだけでなく、塀や手すり、腰壁、パラペットなどの最上部に被せる仕上材のこといいます。階段の手すり部分や対面キッチンの腰壁部にも取りつけられ、デザインや機能性をもたせるために施工されます。
ベランダやバルコニーの場合は、転落防止のために必ず手すり壁が設置されており、その際上部をカバーするように取りつけているのが笠木になります。
材質は、使用される場所によって異なりますが、木製、セメント製、金属製などがあり、それぞれ防水性、耐久性が変わってきます。
ベランダやバルコニーには、防水性の高いガルバリウム鋼板やステンレス、アルミなどの金属製笠木が使われます。
笠木は、使われる場所によって目的も役割も異なってきます。
外柵の場合は、外からみて住宅に合ったデザイン性の高い、アクセントになる笠木を設置することが多くあります。
味気ないブロック塀ではなく、その上に乗せた笠木で建屋とのバランスやコントラストを持たせ、おしゃれを演出することもあります。その場合でも、笠木はブロック塀やエクステリアを風雨や紫外線から守り、劣化を遅らせる役割をしているのです。
室内の階段手すり部分の笠木は、入居者の安全性を保ちながら、階段を補強する役割も持っています。
外部取りつけのベランダやバルコニーの笠木は、転落防止の安全性を高める役割がありますが、一番は雨漏り防止の役割になります。
取りつけてある場所が2階以上の位置になることから、直接風雨の影響を受けるベランダやバルコニーの腰壁を守る防水機能を備え、家屋全体の劣化を防いでいるのです。
「笠木」が原因の雨漏りが発生するのはなぜ?
屋根でも外壁でも、少しの隙間があれば雨水は入り込み、建物内部、構造の内部に侵入し雨漏りを引き起します。では、笠木が雨漏りを発生させている原因はどこにあるのでしょう。
①脳天打ちのビスや釘の隙間から雨水が浸入する
笠木の真上から防水シートを貫通させて打ちこまれたビスや釘は、経年により緩んできて、すき間を埋めたシーリングも劣化してきます。当初は、雨漏りの心配はありませんが、徐々に雨水が浸み込んで雨漏りを引き起す原因となっていきます。
脳天打ちのビスや釘は要注意なのです。
②側面からのビス固定された笠木は?
脳天打ちではなく、側面であっても笠木にビスや釘を打ちこめば、経年劣化により緩みが出て、シーリングの劣化が起こります。笠木上面から流れ落ちた雨水は、側面の緩んだビスに滞留して、隙間から浸入します。雨漏りの大小はあっても、側面だから大丈夫はありません。
③ジョイント部分や取り合いからの雨漏り
複数枚の金属を笠木につないでいる場合、必ず1枚1枚に隙間が生じます。この隙間をシーリング材で充填し、埋めることで固定し防水しますが、紫外線や温度差、風雨によってシーリングが劣化してくると、隙間が広がり雨漏りに発展します。
建物の立地にもよりますが、自然環境により劣化の度合いは変わってきます。
④笠木の浮き部分が雨漏りの原因となる
ベランダやバルコニーの金属製の笠木は、紫外線や太陽熱の影響を受け続けることで、徐々に変形することがあります。強風の影響も受けることから、固定されている笠木が浮いてしまい、その隙間から雨水が浸入し雨漏りに発展していきます。
ベランダなど外壁に張り出した構造は、雨水の浸入を少しでも許したら、そこから雨漏りが始まり、室内から建物全体へと被害が及ぶのです。
「笠木」のメンテナンスと補修
①シーリングによる補修
下地材への影響が出ていない軽微な雨漏りの箇所は、シーリング材を充填して防水します。立地や環境によって異なりますが、シーリング材の劣化は短いと3年ほど、長くても7年程度で傷んできます。深刻な被害が生じる前の、予防的なメンテナンスとして前回から5年を経過していたら、専門の業者に一度見てもらいましょう。
シーリングですべての隙間を埋めてしまったことで、かえって湿気や雨水の出口を無くしてしまい、雨漏りのリスクを生じさせることになりかねません。
②笠木の交換をする
錆が広がっていたり明らかに耐久性が低下して、穴が開いていたり、経年劣化による変形や傷みが大きい場合は、笠木の取り換えが必要になります。雨漏りが続いている場合は、防水シートが破れて、笠木の下の木材まで腐食していることもあります。
専門業者の適切な状況判断によって、修繕工事を進めていきましょう。
笠木を塗装し直すことで劣化を遅らせる方法もありますが、塗膜によって防水機能を高めることはできても、あくまでも見た目の美観を整えるための塗装であり、メンテナンスの意味合いはありません。
劣化した笠木を修理するために、塗装するのではないことを覚えておきましょう。
まとめ
ベランダやバルコニーからの雨漏りは案外多く、その原因が笠木にあることも分かりました。
見た目のデザインだけではなく、安全性のためにも設置される笠木ですが、施工の仕方や経年劣化によって、建屋に被害を与えることになってしまいます。
小さなビスや釘1本が、大きな問題につながることもあるので、私の家のベランダも良く観察したいと思います。