今回は、雨漏りの調査で用いられる赤外線サーモグラフィーについて解説をお伝えします。
雨漏りの赤外線サーモグラフィーの調査を行うと、天井や屋根などの雨水が想像以上にたまっている事が判明します。通常雨漏りの調査というのは、屋根に上ったりして目視で調査を行うのですが、赤外線サーモグラフィー調査では人間の目だけではわからない内部の状態も診断可能なんですね。
(最近では、コロナウイルスの影響で空港などで人の体温を測る時などに導入されていました。)
建物に雨水が浸入している形跡があるのに、部屋には何も変化がない場合は断熱材が雨水を吸収してわかりにくくなっていることがあります。
赤外線サーモグラフィー調査は具体的に何をするの?
専用の赤外線のサーモグラフィーカメラを使って、建物で雨水の浸入がありそうな箇所を計測していきます。
どこから、どこまで雨漏りしているのか経路を探して客観的に正確に計測していきます。
こうした機器の情報と、建物の構造、職人の長年の経験によって、疑わしい箇所をチェックし、一つ一つ雨漏りの原因を特定していきます。
なぜ、雨漏り調査に赤外線サーモグラフィーが効果的なのかというと水は蒸発する時に、周辺の温度を奪って気化していきます。人でも雨に濡れたら体が冷えてしまいますよね。その結果雨水がしみ込んでいる部分の、屋根や壁、木材などは冷たくなっていきます。
この温度差を利用した調査が赤外線サーモグラフィーなのです。
客観的な画像診断ができるため、屋根、天井、壁などの建物を傷つけずに雨水が流れていく経路をたどり雨漏り箇所をの早期発見につながります。結果として費用も抑えることができるのです。
また、最近では赤外線サーモグラフィーカメラをドローンに搭載して診断することもあります。
足場が組むことができず、点検や調査がしにくかった場所でも、ドローンを使うことによって雨漏りやひび割れを突き止めることができます。
ビルやマンションなどの構造的な不具合などにも、サーモグラフィーを使うことによって調査の精度が上がってきました。
職人が実際に赤外線サーモグラフィー調査をしてみました!
この写真が、実際に職人が屋根に上って撮影した赤外線サーモグラフィーです。
写真の左側で、点点と青くなっている箇所が、雨漏りの疑いがある箇所です。
こうして一つ一つチェックを行い、雨漏りの原因調査を行っていきます。
画像で診断していきながら、雨の通り道や湿ったところをチェックしていきます。
例えば、屋根の青い色をたどっていくことで、雨水がどこに流れつくのが探していきます。そこで、過去の経験から雨漏りの箇所を実際に確認して判断していきます。感などではなく、サーモグラフィーの写真科学的な立証で雨漏りのチェックができるのです。
雨漏りを放置した結果
雨漏りに気づかずに、放置しておくと、建物の木材が腐ってしまうことがあります。雨で湿っている木材は、シロアリの餌にもなりやすいです。すると、天井が抜け落ちたり、家が傾いたりします。
建物のダメージ以外でも、カビの繁殖などからアレルギーなどの健康被害が起こる事も少ないありません。
雨漏り以外にも結露や他の欠陥が出ることも
雨漏りの原因は赤外線サーモグラフィーを使用すれば突き止めることができます。これだけでも十分なほどの役割を果たしてくれますが、なんと結露など他の欠陥を発見することもできるのです。なぜそのようなことまでできるのか。その理由をご紹介します。
雨漏り以外でも、赤外線サーモグラフィー調査でわかる建物のダメージ
赤外線サーモグラフィーの調査では、雨漏り以外にも建物のダメージを探すことができます。
例えば、「結露」です。
天井に染みができていたり、壁、天井の隅が黒ずんできている場合目視ではわからない壁の裏側や内部に雨水などが浸透している事も。
こうした事例も赤外線サーモグラフィーでは調査することができます。
内部結露で柱、土台が腐る
こうした壁など建物内部の結露は、放置しておけばおくほど、柱、土台が腐って建物の強度が失われていってしまいます。
地震の多い日本では、結露による建物倒壊リスクも増えているのが現状です。
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、職人が丁寧に赤外線サーモグラフィーで調査を行っています。
赤外線サーモグラフィーには、メリット・デメリットがあります
赤外線サーモグラフィーのメリット・デメリットをここでまとめておきます。メリットは建物に触れずに離れた状態で温度計測ができるため、屋根や壁をガンガンと叩いて調べるような事もありません。
ほかにも、赤外線サーモグラフィー調査では、コストや時間面でも節約につながります。建物から離れて診断ができるため、足場設置なしで調査を行えます。その結果、調査にかかる費用は時間も大幅にカットできます。
通常雨漏りの検査は、原因特定のために水を流し雨漏り箇所を特定するなど、様々な調査方法を組み合わせて行っていきます。
これらの調査は昔ならば、「職人の感」でおこなわれていましたが、今は赤外線サーモグラフィーなどで正しく計測することによって無駄を減らし、より高い精度で、しかも早く雨漏りの原因を調査することができます。
デメリットは、温度の分布を見て診断していく調査のため、日光があまりに当たらない場所や、極端に寒すぎたり極端に暑すぎるなどの場合、温度差がわかりにくくなることもあります。
赤外線サーモグラフィーは、プロとセット
赤外線のサーモグラフィーは、表面温度の変化をわかりやすく調査してくれます。その結果、雨水が浸入しているか、雨漏りの箇所はどこなのかを推測しやすくなります。
しかし、雨水の浸入位置までの特定は赤外線サーモグラフィーの画像からは特定が難しいです。さらに、雨水が複数の箇所から浸入して雨漏りをおこしている可能性もあります。
ほかにも、凹凸が多い箇所だと温度差もでやすいです。
このあたりの見極めは、赤外線のサーモグラフィーを補助として使用することで熟練職人による建物の構造の把握、現場の確認がスムーズになっていくものです。
DIY感覚で雨漏りを直すために赤外線のサーモグラフィーをレンタルしようと思う方もいます。
ですが、いくら赤外線サーモグラフィーがわかりやすく表示してくれるといっても、現場を踏んでいないことには取り扱うことが難しいのです。
たとえるなら、雨漏り診断は、レントゲン検査のようなものです。腕のある技師が見るからこそ建物の雨漏りや、欠陥の早期発見につながっていきます。
近年は、台風やゲリラ豪雨など想像をこえる大雨が非常に増えてきています。
雨漏りしているかもしれない、と思ったら、雨漏り匠ナビまでお気軽にご相談くださいませ。