今回は雨漏りの補修などで用いられるコーキング材の種類と、修理の際の注意点について解説を行います。
- 雨漏り修理や外壁修理の見積もりに、「コーキング」とか「シーリング」と書いてあってよくわからない。
- コーキングの種類と言われてもよくわからないから選べない。
という事があると思います。
「家の水回りや外壁にヒビが入ってきた」「隙間に詰めているゴムのようなものがボロボロになっている」など、築年数が経過すると気になる箇所が出てきますよね。
水回りや外壁の隙間を埋めることを「コーキング」といいます。コーキング材はホームセンターでも売られていますが、いざ自分で直してみようと思っても種類が多くてどれを選べばいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、コーキングの種類のほか、コーキングをメンテナンスする時期の目安や注意点について、雨漏り修理・防水のプロの目線でお伝えしていきます。雨漏り対策としてコーキングをする際のポイントについてまとめました。
これからコーキングを直そうと考えている方はぜひ最後まで読んでみてください。
コーキングとシーリングの意味は同じ!
コーキングとは、お風呂場などの水回りや外壁などの隙間を埋めている弾力のある素材です。水回りだけでなく、外壁のつなぎ目やひび割れの補修などにも使用されていますね。
コーキングには「隙間を埋める」「詰め物を詰める」というような意味合いがあります。同じ隙間を埋める工事にシーリングという言葉もあるので迷ってしまうかもしれませんね。
結論を伝えると、コーキングとシーリングは同じものです。呼び方は異なりますが、いずれも隙間にボンドのようなコーキング材(シーリング材)を充填することを指します。
元々は、油性コーキング材を使用する場合にコーキング、それ以外をシーリングと呼んでいました。現在では油性コーキング工事が減っていますが、かつての名残でコーキングとシーリングという2つの言葉が残っています。
業者によっては、シーリングをシール、なんて呼び方をする事もあります。
コーキングの役割
コーキングは小さな隙間やひび割れを塞ぐのに適しています。コーキングは気密性や撥水性に優れたものも多く、水回りや外壁のひび割れ補修などでも使用されるケースが多いです。
もう1つ、コーキングには部材同士のクッションの役割があります。コーキングには弾力性があるため、部材同士のゆがみや圧力に柔軟に変化して力を逃がすことができるのです。
家の外壁は、湿度や温度の変化で膨張したり縮んだりします。また、強風や地震などで外壁の部材にたわみや歪みが発生することも考えられます。
弾力性があるコーキングで隙間を埋めることによって、外壁の伸縮やずれに対応できます。隙間を埋めているだけにも見えるコーキングですが、実は家にとってさまざまな役割を果たしているのです。
コーキングの種類を比較してみました。
家の防水やちょっとした雨漏りの補修を考えている人の中には、自分でコーキング(シーリング)をおこないたいという場合もあるかもしれません。
コーキング剤の中には大きく分けて4つの種類があり、使用箇所によって向き不向きがあります。そのため、これからコーキング材を購入する場合には、どんな種類があるか用途に合ったものを選ぶように気をつけましょう。
コーキングの種類 | シリコン系 | 変形シリコン系 | ウレタン系 | アクリル系 |
メリット | 耐久性が高い 比較的コストが安い 密着性が高い |
幅広い用途に使える 上から塗料を塗ることができる 柔軟性が高い |
弾力性が高い 上に塗装をするのに適している |
湿気のある場所に施工できる 上から塗装可能 |
デメリット | コーキングの上から塗装することができない(外壁には不向き) | シリコン系よりもコストがかかる | 紫外線に弱い(屋外には不向き) ホコリを吸着しやすいので塗装が必要 |
耐久性が低い コーキングが痩せやすい |
使える場所 | キッチン 浴槽(水回り) ガラス |
外壁の目地 サッシ周り 屋根 金属など |
タイル・モルタルなどの目地 ウレタン防水 |
タイル・モルタルなどの目地 |
ここでは、一般的な住宅のDIYで使用される機会の多いコーキング材の種類について紹介していきます。コーキングについての注意点は、後半で詳しく解説するのであわせてご覧ください。
シリコン系
- キッチンや浴槽などで用いられる事が多い。
- 耐久性、撥水性が高い。耐候性、耐熱性も良い。
シリコン系のコーキング材は、おもにキッチンや浴槽などの水回りの補修や、ガラス回りに適している種類です。
シリコン系のコーキング材は耐久性や撥水性が高いという特長があるので、水回りの補修によく使われます。また、耐候性や耐熱性も良いというメリットがあります。
しかし、シリコン系のコーキング材は水を弾きやすいため、上から塗装をすることができません。そのため、コーキングの上から塗装をする場合には使用できないため、注意が必要です。
変形シリコン系
変形シリコン系のコーキング材は、外壁のつなぎ目や、ひび割れを補修する際に使われることの多い種類です。ほかにも、水回り、ガラス、木材など広く使用することができます。
シリコンより耐久性が弱い面もありますが、上から塗装できるというメリットがあります。また、水回りでの使用にも適しているので、幅広い場面で使用できるでしょう。
変形シリコン系のコーキング材は外壁の隙間(目地)や、窓枠のサッシ回りに使用するのに向いています。そのほかにも、水回り、ガラス周り、木材に使用することもできます。
ちなみに、変形シリコン系は名前にシリコンと入っていますが、原料にはウレタン樹脂が使われています。そのため、シリコン系と変形シリコン系の使い分けには注意しましょう。
ウレタン系
ウレタン系のコーキング材は、おもにコンクリートのひび割れや木材に適しています。ウレタン系の種類のコーキングはよく密着し、弾力性が高いというメリットがあります。
しかし、ウレタン系のコーキングは紫外線に弱く、ホコリが密着しやすいため、上から塗装をする必要があることも押さえておきましょう。
アクリル系
コーキング材の種類の中でも、アクリル系のはかつては外壁によく使用されていました。湿気のあるところで使用できるほか、上から塗装することも可能です。また、材料費が安いというメリットもあります。
しかし、アクリル系のコーキングは耐久性が低いというデメリットがあります。そのため、5年~10年程度でひび割れてくることが多く、長期的に見るとメンテナンス費用がかさんでしまうことも考えられるでしょう。
コーキングの1液型と2液型の種類の違いとは
先ほど紹介したコーキング材の種類の違いとは別に、もう1つ押さえておきたいポイントがあります。それは、コーキング材の1液型と2液型の違いについてです。
DIYでコーキングをするときにおすすめなのが1液型のコーキング材です。1液型は細長いカートリッジに入っている商品が多く、ホームセンターや通販などで購入できます。1液型は時間が経てば自然に硬くなるため、個人でも手軽に使いやすいというメリットがあります。
2液型のコーキング材はコーキング材と硬化剤を混ぜて使用するタイプです。専用の撹拌機が必要になるので、基本的には業務用として使用されます。
コーキングが必要な状態を見極めるには
コーキングも時間が経つと、次第に劣化してきます。例えば、雨漏りが発生したときには、コーキングのわずかな隙間から雨が室内に侵入しているというケースも少なくありません。
コーキングがよい状態に保たれていれば本来の役割を果たすことができますが、劣化してしまった場合にはコーキングそのもののメンテナンスをしなければなりません。
コーキングは劣化するとひび割れてきたり、触るとボロボロと剥がれてきたりします。そうなると、コーキングのひび割れた箇所から水がしみこんでいてもおかしくはありません。
また、外壁にひび割れを見つけたときにも注意が必要です。近年、住宅の外壁によく使用されているサイディングボードのつなぎ目にもコーキングが使用されています。しかし、外壁は長年に渡って風雨や紫外線に晒されることによって劣化が進みます。具体的には5年~10年程度でコーキングのメンテナンスが必要になる場合が多いです。
コーキングは、ひび割れ以外にも肉やせという状態になることもあります。コーキングの施工不良や劣化によって、コーキング材の厚みが不足すると外壁に溝ができてくるので、定期的にチェックしてみてください。
コーキングは家の中のさまざまな場所に使われています。そのため、自分ではチェックしにくい場所がいつの間にか劣化していることも考えられるでしょう。
現在雨漏りに困っている人は、すぐに対処するためにもプロによってコーキングをチェックするのがおすすめです。コーキングの状態が知りたい人は、雨漏り匠ナビにご相談ください。
DIYによるコーキングの方法と注意点
ここまで、コーキングの種類や劣化の見分け方についてお伝えしてきました。コーキングの種類にもいくつかあるため、まずは用途や使用箇所に合わせてコーキング材を選ぶことが大切です。
コーキングは用途に合わせて適切に使用しないと、補修の役割を果たせない場合もあります。そうすると、かえって雨漏りが悪化してしまう場合もあるので、まずは雨漏り補修を専門としている防水業者に相談することがおすすめです。
DIYでコーキングをする方法
ここでは、実際に自分でコーキングを補修したい人に向けて、簡単に手順を紹介していきます。コーキングをする前にチェックしてみてくださいね。
劣化したコーキングを剥がす
劣化したコーキングは、カッターで切り込みを入れて、きれいに剥がしていきます。目地に汚れが詰まっていると密着しにくくなるので、ハケなどできれいにしておきましょう。
マスキングテープで養生する
コーキングを入れない場所は、のりが残りにくいマスキングテープ(養生テープ)で養生します。丁寧に養生することで、きれいな仕上がりになるので大切なポイントです。
プライマーを塗る
プライマー(シーラー)とは、コーキングを施工する前の下塗り剤のことです。プライマーを先に塗っておくことで、コーキング剤がしっかり密着します。
コーキング剤を入れる
コーキング剤はコーキングガンという専用の道具で注入していきます。目地の内側に空洞ができると劣化が早まってしまうので、多めに充填するようにしましょう。
コーキング剤を十分に入れたら、ヘラで表面を均一に整えます。目地の内側にしっかりとコーキング剤が行き渡るように、しっかりとならしてくださいね。
養生テープを剥がす
コーキング剤が乾ききる前に、養生テープを剥がして完成です。
このように、既存のコーキングを撤去する方法を打ち替え工法といい、既存のコーキングの上から新たにコーキングを足す方法を増し打ち工法といいます。
先にも紹介したように、部分的なコーキングだけでは雨漏りの原因を全て食い止めることは難しいものです。そのため、すでに雨漏りに悩んでいる人や、コーキングのメンテナンス時期を迎えている人は、雨漏り匠ナビにご相談いただくのがおすすめです。
雨漏り対策のコーキングはプロに任せるのがおすすめ!
小さい箇所のコーキングなら「自分でやった方が安いし早いのでは?」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、先にも紹介したように、コーキング材の種類はたくさんあり、施工の方法にもコツが必要です。
また「雨漏り対策として外壁のひび割れをDIYのコーキングで直したい」と思う場合もありますよね。結論から言うと、雨漏りの補修はDIYではなくプロの防水業者に任せることをおすすめします。
ここからは、なぜ雨漏り補修はDIYではなくプロに任せた方がよいのかについてまとめました。ここからは雨漏り補修をプロに任せるべき理由をご紹介します。
雨漏り補修を防水のプロに任せた方がよい5つの理由
では、なぜ雨漏り補修を防水のプロにお願いした方がよいのでしょうか。「大して雨漏りしていないのに、高額な修理をするのはもったいない」と思っている人は、ぜひ続きを読んでみてください。
自分で雨漏りの原因を突き止めるのが困難
雨漏りは厄介なもので、水が漏れてくる箇所と、雨漏りの原因となっている場所が離れていることもあります。また、雨漏りの原因が1ヶ所とは限らないため、原因を突き止めるのが大変難しいのです。
そのため、外壁のひび割れをDIYでコーキングしても雨漏りの解決に至らないことが多々あります。
雨漏りの原因がわからなくて困っている人は「雨漏り鑑定士」の資格を持っているプロの防水業者にお願いするのが安心です。雨漏り匠ナビにも雨漏り鑑定士に合格した防水のプロがいるので、ぜひご相談くださいね。
雨漏りの原因は見えないところに潜んでいることも
雨漏りの原因は目につきやすいところにあるとは限りません。外壁のコーキングのひび割れが目につく場合もありますが、屋根などの高い場所から雨漏りしているケースも多くあります。
雨漏りの原因を自分で突き止めようと思っても、屋根や屋上での作業には危険も伴います。そのため、防水業者による現地調査で雨漏りの原因を突き止める方が安全です。
雨漏り匠ナビでは、現地調査と見積り作成は無料でおこなっています。まずはプロの目で雨漏りの箇所を調べて欲しいという人にぜひおすすめです。
DIYで雨漏りが直らないと建物の劣化が進む
DIYによるコーキングで、外壁のひび割れは一見きれいになるかもしれません。しかし、DIYでの雨漏り対策は根本的な解決にならない場合がほとんどです。
つまり、一見きれいに見えていても、見えないところで雨漏りが進行し続けているおそれがあるということです。そうなると、家の劣化にも繋がり、結果として大規模な修繕工事や防水工事が必要になり、莫大な修繕費がかかってしまいます。
せっかくDIYでコストを抑えても、雨漏りの根本的な解決にならないためかえって高額な修繕費が必要になってしまうというケースは少なくありません。雨漏り対策としてコーキングをおこなう前に、再考してみてください。
雨漏りの症状に適した防水工事が必要
雨漏りの症状によって、防水工事の方法も異なります。そのため、一般の方が自宅の雨漏りに必要な工事を見極めて、自分で施工することはほとんど不可能です。ましてや、一時的なコーキングだけで雨漏りを完全に止めることはまず難しいでしょう。
雨漏りの専門知識があるプロの防水業者であれば、原因を突き止め、適切な解決方法を提案できます。そのため、雨漏りをきちんと解決したいのならば、雨漏り鑑定士の資格を持った専門業者に相談する方が良いでしょう。
ずさんな雨漏り補修をする業者に注意!
雨漏りの補修をするには、原因を見つけることと、適した工事をすることが重要です。しかし、防水業者を謳っていても、適切な雨漏り補修ができない業者がいるのも残念ながら事実です。
なぜなら、雨漏りはごくわずかな隙間からでも発生することがあり、原因を全て突き止めることは難しいからです。そのため、雨漏りの解決には確かな知識や豊富な経験、しっかりと止められる技術が必要になってきます。
業者の中には、きちんと原因を調べずに、部分的なコーキング補修だけをおこなって雨漏り修理を済ませるところも存在します。雨漏りは原因に対して正しい対処をおこなわないと、根本的な解決をすることができません。
でも「どの業者なら安心して雨漏り補修を任せられるのかわからない」という新たな悩みも出てきますよね。雨漏り匠ナビでは、運営元が防水・塗装の専門会社であることから、プロの目線で厳選した防水業者を紹介しています。
雨漏りと一言でいっても、コーキングによる補修のみが必要な状況や、全体防水工事が必要なケースなどさまざまです。雨漏り匠ナビでは症状や原因に応じて、必要な提案をおこないます。
まとめ:コーキングによる雨漏り対策はプロに任せるのが安心!
今回のコラムでは、コーキングの種類やDIYによる施工方法についても紹介してきました。
しかし、雨漏りの補修としてDIYでのコーキングを考えている人は注意が必要です。
雨漏りは原因を見つけ出し、適切に対処していくことが大切です。そのためには、専門知識や経験、雨漏りを的確に止められる技術が揃っていなければなりません。
そのため、雨漏りを止める知識のない一般の方が、DIYで雨漏りを解決するのは難しいと言えるのです。
雨漏り匠ナビには雨漏り鑑定士の資格を持っているスタッフが在籍しています。「雨漏りの原因がわからない」「防水業者はどうやって選んだらいいの?」という悩みがある人は、ぜひ雨漏り匠ナビにご相談くださいね。